来月投開票の衆院選をめぐり、上田清司知事の動向に各陣営の注目が集まっている。自民党は「知事はどこにも応援には行かないはずだ」とくぎを刺すが、衆院議員時代に所属した民主党は「昔は同志」と気を引こうとする。上田知事自身は「民主への友情支援は終わった」と、県内での応援は慎重姿勢だが、かつて自らが選挙区としていた4区には配慮したい考えものぞかせている。
■「県外のみ応援」
民主党の衆院議員だった上田知事は、03年総選挙では友情支援として同党の候補者を応援した。その後、県議会で自民・公明の与党化が進み、昨年7月の参院選では3党の候補者を同じ回数だけ応援した。今回は「小選挙区では候補者も多い。参院選のような取り決めは難しい」と自民党県連幹部は話す。
今のところ、上田知事は「県の要望などで、与野党を超えて応援をいただいている。県内の応援は基本的にはできない」という立場だ。応援予定は、東京都や愛知県など県外の3人だけ。来月8日から投開票日をまたぐ1週間は、米オハイオ州を訪ね、企業誘致活動をする予定だ。
■期待抱く元秘書
しかし、知事の力を借りたい立候補予定者は多い。衆院解散後、上田知事を訪ねた予定者は10人ほど。「出陣式に来て」「ポスターを一緒に」という要請もある。上田知事の秘書を務めていた自民の予定者陣営は「上田知事の影響力は大きい。応援があったら心強い」と期待を寄せる。
知事側近は「『県民党なので応援は難しい』と説明している」と困惑ぎみの表情だ。「ポスターやリーフレットなどに写真を使う場合にも、知事だけが突出していないか確認している」と神経をとがらせる。
■4区は思い特別
ただ、上田知事にとっても、衆院議員時代の選挙区の4区についてはちょっと考えが違うようだ。先週末に開かれた知事の後援会の会合では、代理出席した知事側近が「4区は知事の実家。知事が入らなくても、守ってきた民主の議席を失わないようお願いします」と話したという。
知事周辺からは「これまでの経緯もある。4区は特別扱いしてほしい」という声も漏れるが、自民党からは「もう義理は果たしたはず。認められない」と警戒する声もあがっている。