小泉首相は、郵政民営化法案を特別国会に再提出し、すみやかに成立を図る方針だ。現在の日本郵政公社の4分社化など、通常国会の参院審議で否決・廃案となった旧法案の骨格は堅持するとみられる。ただ、民営化の開始時期は、法案審議の遅れで、当初の「07年4月」から数カ月後ろ倒しになりそうだ。
郵政民営化を最大の争点に位置づけてきた与党は、選挙結果で国民の支持が得られたと判断。特別国会では強気の姿勢で法案審議に臨む方向だ。
旧法案を否決した参院の顔ぶれは変わらないことから、安全な参院通過を期すには内容を手直しすべきだとの見方も政府内にある。ただ、その場合も、旧法案に加えた付帯決議を生かすなどの微調整にとどまるとみられる。
与党は選挙戦で、「国民の資産である郵便局ネットワークは必ず維持する」と強調してきた。「民営化で過疎地の郵便局はなくなる」と主張する反対派に対抗するためだ。郵便局網維持の方針が今後、政府答弁などの形で色濃くなれば、民営化されても経営への制約になる可能性が高い。
また、新会社のコンピューターシステム開発は旧法案の否決・廃案で遅れており、予定通りの運用開始は難しいとの見方も強まっている。法案の修正で数カ月程度の延期が有力視されている。
一方、郵政公社は、民営化に向けた準備作業を再開する。