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役員会を終えた民主党の岡田代表=12日午後、同党本部で |
公示前勢力から64議席減。結党以来の大敗北となった民主党が、岡田克也氏に代わる新代表選びに動き出した。小沢一郎副代表や菅直人前代表らベテランに力強いリーダーシップを求めるか、野田佳彦氏らへの世代交代か。暫定か長期か。17日の選出まで時間は短いが、大量落選の衝撃が収まらないなかで目標を絞れない姿が浮き上がる。
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「こんなときだから、混乱しないようにしないといけない。近々、小沢さん、菅さん、鳩山さんで話し合ってください」
12日夕、小沢氏の側近の山岡賢次衆院議員は、都内の鳩山由紀夫元代表の個人事務所を訪れ、小沢氏と菅氏との3者会談をセットした。
まず起きたのは、「混乱立て直しには強い指導力が必要」という小沢氏待望論。昨年5月、国民年金の未加入問題で辞任した菅氏の後継代表に内定したが、小沢氏自身の国民年金任意加入時の未加入が発覚。代表を辞退した経緯がある。
小沢氏本人も12日朝から山岡氏や中井洽副代表らと電話し、「決めるなら早い方がいい」「どうやって党をまとめるかなあ」と、事態収拾に意欲をみせる。鳩山氏は「選挙の足腰をしっかりさせるため、どういう人がいいのかということだ」と漏らし、選挙に精通する小沢氏に期待をかける。
もう一人、「再登板」に意欲を燃やすのが菅氏だ。12日朝、TBSの番組で後継代表について「こういう時代だから思い切ったことがいいが、思い切ったことをやった時に壊れちゃ困る」と、世代交代が加速することにくぎを刺した。
12日も議員会館の部屋でグループの議員らと連絡を取り合い、夜には側近の荒井聰衆院議員と今後の対応を話し合った。
彼らの意欲を「次世代に回れば、もう出番がないと思っているのでは」(中堅議員)と冷ややかに見る目もある。
一方で小沢、菅両氏らに託すことは「時計の針を元に戻す」との指摘も若手などにある。野田氏や前原誠司「次の内閣」防衛庁長官、枝野幸男幹事長代理、玄葉光一郎選挙対策委員長の「40代4人衆」から代表を出し、世代交代で小泉自民党の先を行こうという声だ。
しかし、これらの世代はまだ火中の栗を拾おうとする動きをみせない。枝野氏は12日の役員会後、記者団に世代交代について聞かれ、「私は考えていない」と話した。
「4人衆」の一人の秘書は言う。「この状況で、だれが声をかけるか難しい」
ある若手議員は「彼らはエリート。こういう場面は出る強さがない」と見る。
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総選挙の結果、民主党の議席は、03年の総選挙直前、当時の自由党と合併する前の水準まで落ち込んでしまった。
選挙戦中、自民党幹部は言った。
「03年は、小沢一郎氏が民主党に合流したのがドラマだった。今回は小泉劇場だ」
選挙後、民主党幹部は言った。
「これを取り戻すには4年以上かかる。今回の選挙で政権交代を目指していたのに、これでは次の選挙が政権交代へのステップだから」
300近い議席を確保した自民党は、簡単には解散には踏み切らないのではないか。4年後を見据えた「本格代表」が必要だ……。党内ではそんな覚悟の声があがる一方、果たして17日までの短期間で練り上げられるかを危ぶむ声もある。
「07年の参院選は、自民党にとって01年の小泉ブームの時の改選だから民主党は比較的楽な戦いになる。次の総選挙の直前にインパクトがある代表を立てるのがいい」
あるベテラン議員はそう言った。今回は「つなぎ」でもいい、との見方だ。ただ、今後をにらめば、首相は特別国会で郵政法案を仕上げ、ポスト小泉候補を並べた内閣改造に踏み切って、ますます「小泉政局」になりかねない。
さらに深刻なのは、本来、代表選びの実動部隊となる各グループが、いずれも大量の落選者による打撃を受けたことだ。鳩山元代表の保守系も、小沢氏の旧自由系も、川端達夫幹事長の旧民社系も、菅氏グループも、横路孝弘副代表の旧社民系も一様に打撃を受けた。
12日午後の党本部。臨時役員会の冒頭、岡田代表があいさつした。
「一致団結して、この民意に対して我が党としてどうするか、しっかりやらないといけない」
だが、12日も表立ってグループが会合する動きはなかった。旧民社系グループの幹部はぼやいた。「誰もいなくなったから、集まることもできない」