民主党の菅直人前代表(58)は16日午後、党代表選への立候補を正式表明する。前原誠司衆院議員(43)は、同じ若手のリーダー格の野田佳彦「次の内閣」財務相を選対本部長に起用し、個別に支持を呼びかけている。16日中に態度を明らかにするとしている小沢一郎副代表(63)も、鳩山由紀夫元代表と同日昼から協議するなど、最終調整に入っている。
菅氏は16日に寺田学衆院議員を事務局長とするなど、若手中心の選対本部を立ち上げ、推薦人集めを開始した。世代間の代表争いだと受け取られることを打ち消す作戦と見られる。
16日朝には、TBSの番組に出演し、「二大政党制が崩れてしまうかもしれない危機の中、この半年、1年、どこまで持ちこたえて攻め込ませないか。(任期は)岡田さんの残任期間の1年だから、その間に政権を目指せる党に立て直したい」と意欲を示した。さらに菅氏は「岡田体制は民主的だったが、けんかには全く太刀打ちできなかった」と語り、小泉首相と論戦で対抗できる力が代表には求められるとの考えを示した。
一方、前原氏を支援する中堅・若手は16日朝から、党内の一人一人に電話で支持を呼びかけている。
前原氏は同日、電話出演した番組で「代表選は行われた方がいい。密室で決まることは党再生にはそぐわない」と選挙戦を歓迎した。「総選挙の敗因は郵政民営化法案の対案をまとめなかったこと。党内の確執を乗り越えて意見をまとめる意志がなかったことを突かれた」と、重要法案には対案を出す姿勢を改めて強調した。
小沢氏は15日夜に鳩山由紀夫元代表と会談。鳩山氏は、支持を約束して小沢氏に立候補を促した。16日も小沢氏が鳩山氏の事務所を訪ねて会談した。勝算を見極めたうえで、立候補をするかどうか判断する構えだ。
小沢氏を支持する若手らは、党内の各グループに協力要請し、多数派工作を急いでいる。鳩山元代表のグループのほか、主要グループの支持を取り付ければ、支持基盤のうえでは菅、前原両氏に比べて優位に立つ見通しだ。
ただ、小沢氏は「挙党態勢」も強調しており、立候補せずにいずれかの支持に回る可能性も残している。立候補の判断基準について、小沢氏は15日、記者団に「総選挙で勝つにはどういう布陣がいいかということだ」と語った。