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郵政民営化Q&A お金の流れは変わるのか

2005年09月3日

「郵便貯金と簡易保険の340兆円の資金を官から民へ流せば、経済が活性化する。だから、郵政民営化は改革の本丸だ」――小泉首相らは、これまでこう主張してきた。確かに今までは、家計がためた巨額のお金が、郵貯と簡保を通じて、政府部門に流れていた。それが民間企業で使われれば、経済に大きな活力をもたらす可能性は高い。しかし、郵貯・簡保が民営化されれば、本当にお金の使い手が民間企業に切り替わるのだろうか。その際、具体的にはどうお金の流れが変わるのか。Q&A方式でまとめた。

 ◇「民へ340兆円」疑問多く
  「資金の流れを官から民へ」というキャッチフレーズの意味は。
  郵便局に預けたお金はこれまで、「財政投融資(財投)」に流れ、日本道路公団などの特殊法人や住宅金融公庫といった政府系金融機関――つまり「官」の部門に貸し付けられてきた。簡保のお金も大半が政府や自治体、財投に回っていた。  戦後の経済成長を支えたともいえる仕組みだったが、最近では、ムダ遣いが目に余るようになったので、郵政民営化を通じて「資金を民間部門に流し、国民の貯蓄を経済の活性化につなげる」(郵政民営化の基本方針)というわけさ。
 もっとも、01年度の財投改革で、郵貯が財投にお金を預ける義務は廃止されている。07年度までは財投向けの国債(財投債)を一定量、買う約束だが、それ以降は財投との制度的なつながりは切れるんだ。
  それなら、なぜ、郵政民営化が必要なのだろうか。
  自民党はこう説明している。「公社のままでは、資金の運用対象が安全資産に限られるため、国債(財投債を含む)の購入は避けられない」(自民党政務調査会「早わかり郵政民営化」)。「公社」の看板でお金を集めているので元本割れは起こせない。だから、国債を買うしか運用手段がないので、「官」にお金が回り続ける――。逆に、民営化すればリスクをとった資金運用もできるので、「民」にお金を回せる、という理屈だ。

 ◇「通り道」と「行き先」
  じゃあ、やっぱり郵政民営化で340兆円が民間に回るんだね。
  必ずしもそうとはいえない。家計のお金を預かる郵貯や簡保は、たしかに民間になる。ただ、郵貯や簡保は、民間銀行と同様、お金の「通り道」なんだ。自民党の理屈を見ても「資金の流れを官から民へ」というなら、お金の「通り道」だけでなく、最終的な「行き先」――つまりお金の使い手が「政府部門から民間企業へ」と変わらないと意味がないよね。

〈キーワード〉財政投融資
 財政投融資は国の「第2の予算」ともいわれ、ピーク時には残高が418兆円に達した。郵便貯金と年金積立金には集めたお金を財投に預ける(預託)義務があり、代わりに金利は市場の水準より優遇された。小泉政権発足前に決定された財投改革で、01年度から預託義務は廃止。財投の規模自体も縮小に向かったが、05年度見込みでも残高はなお306兆円に上る。

■郵貯・簡保民営化後の経営試算(単位・兆円)
         06年度    16年度
郵便貯金
 郵貯残高    214.0 → 142.5
 資産合計    250.1 → 153.0
 民間貸し付け等          35
簡易保険
 資産合計    113.1 →  74.3
(郵政民営化準備室「骨格経営試算」「採算性に関する試算」から)

 

   ◇官へ大幅増の試算も

グラフ

郵貯・簡保の推移

  でも、お金の使い手も当然、変わっていくはずだよね。
  郵政民営化準備室の経営試算によると、郵貯から「官」へ回るお金は130兆円余り減りそうだ。簡保からも約40兆円減る可能性がある。代わりに民間企業や家計に回るお金が約30兆円増える。
 ただ、「行き先」を問う場合、郵貯と簡保だけを見ていても始まらない。本当に、お金が「官から民」へ流れたかどうかを見極めるには、民間銀行も含めた資金の流れ全体を点検する必要がある。
 実は、そうした全体像について、政府関係機関による試算は見あたらない。様々な仮定を置いた長期予測になるという事情もあるからだ。唯一といっていいのが、今年6月の経済財政諮問会議で配布された論文だ。筆者は、慶応大学教授の跡田直澄氏と、内閣府経済社会総合研究所の高橋洋一氏。ともに、竹中郵政民営化担当相のブレーンとして、竹中氏の主張を理論面で支えてきた。
 論文は、民営化10年後にあたる17年度の資金の流れを試算している。今後の経済成長や財政収支の見通しを前提に、郵政民営化効果を加味して数字をはじき出した。
 図をみると、郵貯・簡保から財投への資金の流れは、03年度の200兆円から17年度には10兆円にまで激減する。郵政民営化というより財投改革の成果ではあるが、「官」への資金の流れがここではほぼ断たれている。
 ところが、視野を郵政→財投の外に広げると、光景は一変する。民間金融機関から国債・地方債を通じて政府・自治体に流れるお金が、280兆円から670兆円に激増している。家計が直接国債を買う額も現在の10倍の100兆円に増加しているのだ。

 さらに、郵貯・簡保が直接買う国債・地方債も、130兆円から150兆円に増える。合計の増加額は500兆円。つまり、政府・自治体に流れ込むお金をみると、財投経由は確かに、80兆円減るものの、差し引きでは、400兆円以上も増える計算なのだ。
 これに対し、民間企業に回るお金は、民間金融機関経由が100兆円から240兆円に増え、郵貯・簡保からも最大30兆円増加する見通し。「伸び率」で見れば大きいが、家計預金の行き先に占める「官」と「民」の比率が大きく変わるわけではない。

 ◇まずは赤字減
  竹中氏のブレーンにしては、控えめな試算に見えるけど。
  そうだね。この試算は、さっきも言ったように、国の財政見通しを前提にしている。それによれば、基礎的財政収支が黒字になるのは12年度で、それまで、政府・自治体の累積赤字は増えていく。その赤字をだれかが「補填(ほてん)」しないと、つじつまが合わなくなってしまうんだ。
 跡田氏らも、郵政民営化で「資金の流れは『官から民へ』と大きく変化するだろう」と述べる一方で、「公債(国債・地方債)残高は今後も増加し、民間金融機関はそのために資金供給せざるをえない」とも書いている。

 

   ◇財政改革進展が鍵

グラフ

資金の流れの変化

※クリックすると、拡大します

  お金が民間に流れるには、まず政府・自治体の「借金」をなんとかしないといけないわけだね。
  財政改革は、郵政民営化より、はるかに大きくて複雑なテーマだ。経済の成長力や社会保障や税制のあり方など、様々な要素を考える必要がある。
 例えば、試算で前提とされている経済成長や財政収支の見通し自体、決して低いハードルではない。実質成長率は1%台半ばから2%程度。インフレ率を加えた名目成長率は3%台半ばから4%程度が想定されている。名目マイナス成長も珍しくない現状のままでは、実現はおぼつかない。
 財政も国と地方を合わせた基礎的財政収支を、12年度までに名目国内総生産(GDP)比で4.5%分改善することを前提にしている。足元でいえば、毎年2兆〜3兆円分、赤字幅を縮める必要がある。
 財政赤字をさらに減らすためには、こうした前提以上の実績を残すことが必要だ。想定を上回る経済成長を実現しなければ、「増税か、厳しい歳出カット」が避けられない。
  でも、そうした経済成長を前提にすれば、「つじつま」は合っているのではないのか。
  そう簡単ではない。まず、民間金融機関が現状の2倍以上の国債・地方債を買うのは「非現実的」(大手銀行幹部)との指摘がある。試算は、長期金利が12年度までに4%台に上昇する経済環境が前提だ。その場合、金融機関の保有国債が値下がりし、損が出かねない。真壁昭夫・信州大学教授は、「すでに200兆円以上国債を保有する金融機関が、金利上昇の中で買い進むとは考えにくい」と分析する。

 名目成長率が4%台に回復すれば、民間の資金需要はかなり増えるはずだ。民間企業が、政府とお金を奪い合えば、金利は上昇(国債価格は下落)してしまう。そうなると、膨れあがった国債をどう管理していくかという別の問題が浮上する。「日銀による買い入れ増が議論に上るかもしれない」と真壁氏はみる。「官から官へ」のルートの強化だ。
 逆に、景気低迷が続き、ゼロ金利でも民間企業に資金需要がない今のような状態が続けば、いくら「官」の資金需要を減らしても、民間企業には回らない。状況を変えるには、まず、民間の投資を増やす条件を整えて資金需要そのものを増やす政策が必要なのだ。

  では、郵政民営化は無意味なのだろうか。
  財投改革を後戻りさせないという意義はあるだろう。「(財投と一般会計という)政府の二重性を排除できる」(跡田教授)ため、財政の透明性は高まる。「資金の通り道」とはいえ、民営化で、資金の配分に市場原理が強まり、政府の無駄遣いへのプレッシャーにはなるだろう。  ただ、「資金の流れ」自体の動きは、経済や財政政策の「結果」の面が強い。跡田教授らも「より民への資金の流れを作るためには、政府の公債依存体質を改めなければならない」と論文をまとめている通りだ。

 

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