衆院選の投開票を翌日に控え、各党党首らは10日、候補たちとともに最後の訴えに声を振り絞った。「郵政」「年金」「景気」「平和」……。一方で、演説に耳を傾けた有権者たちが一票に託す願いも様々だ。
■自民
小泉首相は午後7時15分、千葉市のJR稲毛海岸駅前で満面に笑みを浮かべ、大きく手を振った。最後の街頭演説もテーマは郵政民営化一本。「与党も野党も郵政関係公務員に選挙で世話になってきたから、民営化を言うのはタブーだった」と叫んだ。
千葉市の主婦(74)は「小泉さんの話は分かりやすい。今回は郵政解散だから年金や介護の問題が後回しになるのは仕方がない」。同市の男性会社員(53)は「自民党が改革政党になったとは思えない。小泉さんが辞めた後、元に戻らないか不安です」と話した。
■民主
民主党の岡田代表は夕方から新宿など東京の都心部を駆け回った。午後7時半ごろには渋谷駅前に姿を見せ、「今のままでは後がない。この国を変えていこう」と政権交代を叫んだ。「小泉劇場に酔いしれて投票するのはやめて欲しい」とも。
渋谷で演説を聴いた無職の男性(64)は「今は財政再建が大きな問題だと思う。岡田さんはまじめでいい」。新宿で聴いた会社員の男性(30)は「岡田さんは思ったより力強かった。強引なくらいのリーダーシップを持った政治家が必要な時代だと思う」と話した。
■公明
公明前職を自民が推す「自公協力」の象徴、東京12区。午後6時過ぎ、公明党の神崎代表は「官僚支配を打破して、民間主導の活力のある社会にしないといけない。その突破口が郵政民営化だ」と訴えた。
沿道は身動きができないほど。演説を聴いていた男性(54)は「これから少子化社会になる。子どものことも考えてくれる人に一票を入れたい」。パートの仕事に行く途中の主婦(35)は「有言実行ですぐ仕事をしてくれる人を選びたい」と話した。
■共産
共産党の志位委員長は午後6時すぎ、千葉県浦安市内のスーパー前に、地元の小選挙区候補と一緒に並んだ。約100人を前に、「郵政民営化に反対の人は、(共産党に)託してほしい」。
買い物袋を提げて演説を聴いていた市内の主婦(31)は、話題の選挙区が何度もマスコミに取り上げられ、選挙を身近に感じたという。「もう一日、各党の主張を比べてから、投票したい」と話した。
■社民
鹿児島市の繁華街・天文館。社民党の福島党首が原爆を題材にした漫画「はだしのゲン」の一場面を引用し、「私が命を、命を、守っちゃる」と大声を上げると、約500人の聴衆から拍手がわき上がった。
JR鹿児島中央駅前での演説後、沖縄へ。見送った元小学校教諭の女性(61)は「憲法を必死に訴えてくれる党に期待したい」。
■国民新党
国民新党の綿貫代表は富山県高岡市のデパート前に、必勝はちまきを巻いて登場した。「公共事業は減らせば減らすほどいいという小泉政権の政策は間違っている」
関心は景気や年金問題という同市内の病院勤務の男性(37)は「都市部は景気が上向いているかもしれないが、地方では実感がない。先を見すえ、地方の思いが伝わる人に入れる」と話した。
■新党日本
夕方、新党日本の田中代表がマイクを握った、さいたま市のJR大宮駅東口。駅前の狭い歩道には200人余りの人垣ができた。拍手を送ったパートの女性(54)は「年金や介護の公約で投票先を決める」と話した。
田中代表は「多くの党は年金をしっかりするなら増税が必要と言うが、発想の転換をすれば、福祉と財政再建の両立は可能だ」と訴えた。