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〈参院選に訴える:1〉北陸新幹線 熱帯びる県内延伸運動

2007年07月04日

 「政府与党がいよいよ整備新幹線のスキーム(基本計画)を見直す。地域の人や部下に質問された時に自らのこととして説明してほしい」

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県庁幹部向けに開かれた北陸新幹線についての説明会。県内延伸の早期実現に向け、担当課以外の課長ら約50人が参加した=県庁で

 先月29日、県庁各課の課長ら約50人を対象にした北陸新幹線についての説明会で、大橋直之・県総合政策部長はこう呼びかけた。正念場を迎えた新幹線の県内延伸を、職員を通じて広く県民運動に盛り上げていこうとの狙いからだ。担当課の職員が、北陸新幹線の計画概要や福井駅部の工事状況をスライドを使ってわかりやすく説明した。こうした取り組みは初めてで今後、約150の出先機関の所属長らを対象に開き、各種団体の会合に担当課が出向く「出前説明」も始める。

 北陸新幹線は、石川県の白山総合車両基地までの工事実施計画は認可されているが、それより以西では福井駅部の工事が単独で認められているだけ。県では敦賀までの工事実施計画の一括認可と、北陸3県同時期開業を強く求めている。

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 04年12月の政府・与党申し合わせで「必要に応じ随時見直す」としていた新幹線の整備計画は、参院選を前に、動きが急になってきた。5月末には東京の議員会館で、与党の整備新幹線建設促進プロジェクトチームが初会合を開催。これを前に関係各県や団体が、中央への要請活動に相次いで乗り出した。

 与党プロジェクトチームの会合には、未着工区間を抱える12道府県の知事や副知事が呼ばれ、意見を聞かれた。西川一誠知事は「整備計画をはっきりしてもらわないと街づくりにも影響する」と述べ、改めて、敦賀までの工事実施計画の一括認可と北陸3県での同時期開業を強く訴えた。

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 熱を帯びる運動の一方で、北陸新幹線開業に伴う「並行在来線」の存続についての議論も浮かび上がってきた。

 敦賀市議会の6月定例会。代表質問である市議は「在来線になる北陸線や地元負担はどうなるのか。市長には、新幹線の敦賀駅停車のメリット、デメリットを市民に十分に説明する責任がある」とただした。河瀬一治市長は「関係機関と連携し市民の利便性は確保する」と答弁した。

 新幹線が開業すれば、並行して走る在来線はJRの経営から分離され、特急や急行は廃止される可能性がある。第三セクター化された場合、線路や駅などの資産を県や自治体が買い上げることになるという。北陸線について県は、第三セクターで存続し地域住民の生活の足は確保するとしている。県は6月補正予算で北陸線の利用実態の調査費を計上した。

 福井商工会議所の研究会の調査では、各地の三セクは厳しい経営状況にあるのが現実だ。02年に八戸まで開業した東北新幹線の場合、盛岡以北の岩手県内の路線では普通運賃が1.58倍、通勤定期運賃が2.12倍に値上げとなった。だが、開業後の04年度、三セクは約1億2270万円の営業損失を計上した。

 こうした状況に、「JRが北陸線は全部まとめて三セクでやってくれと言いたいことは分かるが、そんな大きな財政負担を我々が背負い込む必要はないと思う」(森喜朗・北陸新幹線建設促進議員連盟会長)との声も出ている。

 6月28日、自民党整備新幹線等鉄道調査会と同党整備新幹線建設促進議員連盟はJR各社から並行在来線への対応について意見を聞いた。JR西日本の山崎正夫社長は「並行在来線の経営分離という基本原則が堅持されると認識している」と従来の姿勢を踏襲した。

 県によると、新幹線の県内延伸に伴う石川県境から敦賀までの総事業費は5280億円の見込みだ。国の交付税措置などを受ければ、整備段階での県負担額は966億円という。

 早期実現に向けた運動に冷静な視点も必要とある県議は話す。「県は熱心に運動しているが、随分と県民とは乖離(かいり)があるように感じる。大枚をかけて、新幹線を誘致しても最後に『実は』となるのでは危険だ。並行在来線問題についてもどう変わっていくのかというデータをまず示して、議論していくことが大切だ」

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 福井から見える参院選に向けた課題をリポートする。

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