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〈課題を探る〉憲法誕生描いた映画、県推奨に賛否

2007年07月25日

 「これは護憲派の目から見た歴史で、それを描いた映画だ。一つの考え方を『県の推奨』として押しつけたくない」

 「左右の意見はあって当然で、ちょうど真ん中の意見はあり得ない。あくまで一つの素材として、子どもたちに見せてもいいのではないか」

 日本国憲法をテーマにした自主制作映画「日本の青空」(大沢豊監督)を、県の優良推奨作品とするかどうか。5月下旬、県青少年環境整備審議会・第1部会。学識経験者や映画館支配人、報道関係者ら7人の委員の意見は分かれた。

 「審議の場で護憲と改憲そのものについての議論ができないことが、世の中の改憲論議と重なっているようだった」。参加した委員の1人は振り返る。

 同部会は結局、「憲法解釈については言及しない」という文章を付けたうえで、推奨するよう6月に答申。県は今月17日、指定をした。

 映画は、元静岡大教授の憲法学者鈴木安蔵氏(1904〜83)を主人公に、現憲法が誕生した経緯を描いている。東京都調布市と同市教委が上映会の後援を断るなど、映画の「護憲的」立場を好まない声もある。

 鈴木氏に縁のある静岡では昨年7月、静岡大関係者を中心に約40人が世話人となって「支援する静岡の会」が発足した。代表世話人で元学長の佐藤博明さん(72)は、駆け出しの大学教員だった20代の時に鈴木氏と同僚だった。

 佐藤さんは「戦争の反省の気持ちを集約したのが憲法9条。今の憲法をきっちり守ってほしいし、解釈改憲が進められるのも怖い」と訴える。

    ◇

 9条が変わると、自衛隊と米軍の関係がさらに深まるかもしれない。県内には航空自衛隊の浜松基地と静浜基地(大井川町)がある。御殿場市、裾野市と小山町にまたがる陸上自衛隊東富士演習場は約8800ヘクタール。本州最大の演習場だ。

 東富士演習場のうち約120ヘクタールは米軍営舎地区(キャンプ富士)が占める。59年に結ばれた協定で米軍の使用が認められた。協定には条件として「キャンプ富士の全面返還」が明記されている。

 地権者らでつくる東富士演習場地域農民再建連盟の幹事長、勝間田祐一さん(50)は「地権者の中には、改憲されると自衛隊と米軍の共同演習が強化されるのではと懸念する人もいる」と打ち明ける。

 国は5月上旬、地元3自治体などに、演習場内の市街地訓練場を米軍が使用することを提議した。対テロ訓練用の施設で、昨年4月から自衛隊が使用している。

 地元側は、国がキャンプ富士の全面返還の取り組みを着実に進めることを条件に了承した。

 「全面返還に逆行するとの声もある。いつになったら返還されるのか」

 勝間田さんは淡々と話す。

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