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〈問う 漂流自民党:4〉首相の意向に右ならえ

2007年07月12日

 「戦後レジームからの脱却」を掲げる安倍首相と、思想・信条が近い衆院議員がいる。岐阜5区の古屋圭司氏(54)。

 義父で元自治相の亨氏(故人)時代からの地盤・恵那市。10日、市役所の近くの雑居ビルの一角にある古屋氏の事務所では、参院選向けの首相のポスターと、「岐阜県連公認」と書かれた05年衆院選当時の古屋氏のポスターが並んで張られていた。

 いわゆる従軍慰安婦問題への旧日本軍関与について、強制連行はなかったと主張する「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」。10年前の発足時、首相は事務局長、古屋氏は副幹事長だった。北朝鮮の日本人拉致問題をめぐる超党派の「拉致議連」でも一緒に活動。成蹊大の同窓でもある。

 05年夏、古屋氏は郵政民営化法案に反対し、直後の衆院選に無所属で6選を果たしたが、離党に追い込まれた。それが昨年9月の安倍内閣誕生が弾みとなり、同年暮れに復党。今年5月、自民党の中堅・若手議員約40人と「価値観外交を推進する議員の会」をつくり、自ら会長に就任した。

 「軍事費増大など覇権拡張の疑念は払拭(ふっしょく)できない。中国は共通の価値観を持つ国ではない」。同会の初会合でこう話した古屋氏は、女系天皇反対論や民法772条(嫡出の推定)の問題などでも保守派の代表格だ。首相と近い存在のため、「首相の別動隊では」との見方まで出る。

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 教育基本法改正、憲法改正の手続きを定める国民投票法。安倍首相は、55年の結党以来、自民党政権が踏み込めなかったことを一気に実現した。衆院で与党が3分の2以上の議席を持っていることも大きいが、首相の意向が党内を動かしたのは間違いない。

 一方、安倍政権は発足直後から、閣僚や党幹部の不用意な発言が相次いだ。麻生外相や中川昭一政調会長による「核保有発言」、下村博文官房副長官の「従軍慰安婦発言」だ。ところが、党内では強い批判の声が出ない。加藤紘一・元幹事長(68)は、こうした状況に強い危機感を持つ。

 「小選挙区制導入で、総裁と幹事長が権力を握り、異論をはさむことができなくなった。党内全体が『寄らば大樹の陰』のようになった」

 党内に多様な意見を抱え、「タカ派」「右派」が信任を失えば、今度は「ハト派」「左派」の政権に――。こういうように、党内で「疑似政権交代」を繰り返すことが、55年体制では、政権を維持する知恵だった。しかし、小選挙区制になって派閥の役割が低下。総裁・幹事長が、選挙の公認権、政党交付金や閣僚ポストの配分を握り、「物言わぬ自民党」になったというのだ。

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 党内には、派閥に頼らなくなった小泉前首相以降の政治スタイルを評価する声もある。愛知県連幹部の県議は「いつまでも党内にいろんな方向性を抱える必要はない。小選挙区制で大事なのは、党内での争いではなく、民主党に勝つこと。党が一丸となって相手に向き合わなければいけない」と強調する。

 それでも加藤氏の懸念は消えない。

 「のびのびと話すことができない組織や社会は衰退する。自民党は、衰退の道を歩んでいるのではないか」

=おわり

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