選挙は朝日で 2007参議院選挙 アサヒ・コム

ここから本文エリア

現在位置:asahi.com2007参院選夏・選択のとき > 記事

〈夏・選択のとき:中〉「夢持てぬ借金大国、自覚を」 作家・中村うさぎさん

2007年07月19日

 振り返ってみると、小泉、安倍と続いた首相の「改革」という言葉に踊らされた6年だったね。

写真

中村うさぎさん

 作家として気になるのは、小泉さんの前の森さん以来、政治家の言葉がずさんになっていること。特に安倍さんの言葉は耳当たりが良いだけ。「愛してる。きれいだよ」とささやくようなホストにはまった経験で言うと、うそをつくやつほどあいまいで抽象的な言葉を使う。なにをもって「美しい国」とするか、定義がないでしょう。

 一方で、「愛国心」を強調する。住民税の次は消費税を上げようかと弱者にしわ寄せをして、年金制度のほころびを長年ほったらかしにして、本当に愛される国なのか。美しくなくていいから、税金を納める価値のある国になったらどうよ。

 サッカーで日本が勝った時に高揚する光景にも違和感があるんだ。他国に優越感を覚えることがナショナリズムではないでしょ。ワーキングプアが増えて閉塞(へいそく)感が強まっているから、まあ無理もないかな。

 中国や韓国を威勢のいい言葉で攻撃して、国民を扇動する指導者が出てきたら火がつきそうで怖い。

 全共闘世代の次の私たちはシラケ世代と呼ばれたけど、いまの20代のしらけ方は底が知れない。

 飢え死にはせずとも、漫画喫茶暮らしなんてしていたら、明日が今日より良くなるとか、頑張れば報われるなんて思えないよ。中高年も心の病のグレーゾーンにいる人が増え、国中に絶望感と軽うつ症状が広がっている。

 私は、ブランドものを買いあさって借金地獄に落ちた。目に見える勝ち組の証しを手に入れたかったの。今になって、老化の前には意味のないことだったとわかるわ。

 この国だってそうよ。金銭的な勝ち負けにこだわってきた結果、一見立派だけど、内実は格差が広がって国民が夢も見られない借金大国。早く自覚しないといけないね。

    ◇

 〈なかむら・うさぎ〉 北九州市生まれ。ブランド品浪費やホストクラブ、美容整形にはまった経験を週刊誌に連載中。49歳。

夏・選択のとき

夏・選択のとき

このページのトップに戻る