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〈夏・選択のとき:下〉「発言・行動、責任取らぬ軽さ」 作家・目取真俊さん

2007年07月20日

 原爆投下を「しょうがない」と失言した後、笑顔で会見する久間前防衛相をテレビで見て、驚いた。今年は長崎市長が撃たれて亡くなっただけに、例年にまして暴力と原爆に対する姿勢が問われていたはずです。

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目取真俊さん

 小泉政権から安倍政権に変わり、閣僚が相次いで失言して自殺までした。どんどん狂ってきて、異常なことが当然になった。言葉の重みを限りなくそぎ、その時のノリで発言し行動して責任を取らない軽さが「この6年」。戦争体験や歴史認識が急速に崩れたことに関係するでしょう。

 沖縄の島民が軍の命令で自決したことを教科書から削除した問題で、沖縄のすべての地方議会が短期間に削除に反対する意見書を可決した。ヤマトゥ(本土)からみたら驚異的だろう。その落差は何なのか。沖縄では戦争体験者の声にまだ影響力があり、歴史を語り継がねばならないという意識が強くあります。

 日本は対米関係を良好に保てば発展するという考えで一貫してきた。戦争責任をあいまいにし、アジアとの良好な外交関係を築ききれていない。

 小泉前首相はアジアとの関係の悪化がわかっていても、靖国神社の参拝を強行し続けた。高まった国民の不満や不安を排外的ナショナリズムに吸収させていると思う。

 後を継いだ安倍首相は、壊れた古い価値観と秩序を保とうと悪あがきをしているように見えます。

 小泉前首相は新自由主義を日本に持ち込み、企業の論理を市民の意識にまで広げた。九州沖縄サミット以降の沖縄ブームもその流れ。文化が前面に出て、重く、きつい、政治的な沖縄から、軽くてノリが良く楽しめる沖縄に変わっていった。

 それまでは生活の一部だった文化や芸能が商品となり、見せ物になってしまった。エイサーは年中踊るものではなかった。8月に帰ってくる祖先の霊を迎え、送るために踊ったものですよ。

    ◇

 〈めどるま・しゅん〉 沖縄県今帰仁村出身。沖縄の歴史や自然を扱った作品が多い。97年、「水滴」で芥川賞を受賞。46歳。

夏・選択のとき

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