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あれから3年 「年金」再び争点に

2007年06月01日

 5000万件にのぼる「宙に浮いた年金記録」を巡る国会での攻防が大詰めだ。思い返せば3年前の参院選の争点も「年金改革」だった。今回の参院選でも争点になりそうだが、年金はどうなるのか。記録が失われた人たちは、その行方を厳しく見つめる。

 ■放置の責任、政治家に 主婦・74歳

 「領収書は残っていませんか」

 30日午後、東京都練馬区の社会保険事務所の窓口。同区の主婦(74)は職員にこう言われ、怒りがこみ上げた。40年も昔の紙1枚だ。「わざわざ手元に残しているわけないでしょう」

 14年前に支給が始まった。自営業者の夫(80)には満額支払われたのに、自分は1万円ほど少なかった。すぐに窓口で確認すると、自営業者らから国民年金の保険料徴収が始まった61年から4年間分が未納と言われた。

 「おかしい」とは思ったが、国が間違えるはずがないとの考えがよぎる。仕事にも追われて時が過ぎた。そこに今回の騒動。「ひょっとして私も?」。気になって窓口に足を運んだ。

 裕福ではなかった若い頃、「将来のために」とやりくりして年金の保険料を払ってきた。今は蓄えを取り崩す毎日だ。もらえるはずのものがもらえないのは悔しい。

 「泣き寝入りですか」。問いかけると職員は黙ってしまった。年金を巡る国会審議をテレビで見ると、政治家にこう言いたくなる。「3年前もこんな光景を見た。ずさんなやり方を放っておいた責任を、少しは感じてほしい」

 今までは「無難だから」と自民党支持だった。今回は年金問題への力の入れ方で投票先を決めようと考えている。

 ■選挙後、冷めないか 自営業・66歳

 大阪府東大阪市の自営業の女性(66)が記録の消失に気付いたのは7年前。被保険者期間満了の通知が届いた時だった。

 25歳まで公立病院の看護師で共済年金に加入していた。出産を機に66年に退職。75年に過去の未納分を支払える特例制度を知り、約7万6000円を一括納付した。小学生だった長男を連れ、役所を回ったことを今も覚えている。その後はきちんと納めた。

 だが、00年の期間満了通知は、国民年金の納付開始が「75年」になっていた。一括納付の記録が消えており、96年までは保管していた領収書も捨ててしまった。社保庁側は「勘違いでは」と認めない。年金の消失分は年額十数万円になる。昨秋、社会保険審査官に審査請求したが棄却され、再審査を請求中だ。「払ったことを認めてほしいだけなのに、うそつきみたいに言われたのがつらい」

 どの政党を支持するかも大事だが、参院選が済んだら年金問題への熱が冷めないだろうか気にかかる。

 ■首相、開き直ってる 夫婦・50代

 「参院選を前に、年金問題が政党間の争いに使われるのは本意ではない」「でも、こんな機会がなければ注目されず、問題は放置されたままだったかも……」

 やはり年金記録の一部が消えていた横浜市の自営業、中村正見さん(59)と妻の美津子さん(56)は、こんな相反する気持ちを抱いている。

 30日に国会で党首討論を傍聴した。「国民から申請があれば、(証明書類がなくても)自動的に給付しろと言うのか」という安倍首相の発言に、社保庁の対応と同じ開き直りを感じた。30年前の納付記録を求められ、「ない」と話すと、窓口の職員は「記憶違いじゃないですか」と聞く耳を持たなかった。

 政府・与党は社保庁改革関連法案と年金時効特例法案の成立を急ぐ。美津子さんは、「まじめに保険料を納めてきた被害者を救うことを最優先に考える政党を見極めたい」と考えている。

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