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内閣支持率、浮揚のカギは 識者はこうみる

2007年06月09日

 年金問題や現職閣僚の自殺という打撃を受け、安倍内閣の支持率が急落した。年金特例法案に続いて国家公務員法改正案の採決を急ぐなど、再浮上を狙う。「選挙の顔」を期待されて就任した安倍首相。参院選の公示予定日まで1カ月を切る中、再び国民の支持をつかむ鍵は、どこにあるのだろうか。識者に読み解いてもらうと――。

 ■名宰相への意欲過剰

 「昭和史」(平凡社)などの著書がある作家の半藤一利さん(77)は、内閣支持率の下落は簡単には収まらないと見る。「国民は、『首相は政権維持のため、松岡前農水相の辞任を許さず、最後には自殺に追いやった』と冷ややかに受け止めているからです」

 首相は今年初めの記者会見で、「憲法改正をぜひ私の内閣で目指したい」と語った。半藤さんは「祖父の岸信介氏や大叔父の佐藤栄作氏らのように、大きな仕事をして歴史に名を残したいと思い込んでいる」と見る。

 ところが、安倍政権の参院選の公約は年金改革など「生活重視」の路線が強まり、改憲などは後退してしまった。半藤さんは採決の強行も辞さなかった最近の国会運営を見て、「名宰相になりたい一心なのではないか」と批判する。

 一方、社会思想史が専門の佐伯啓思・京大大学院教授(57)は、支持率下落に振り回されるべきではないとの立場だ。「年金問題への対応は誰がやっても同じ。松岡氏の問題も、任命権者としての間接的な責任はあるにしても、松岡氏個人の問題が大きい」と指摘する。

 下落の原因を「格差や北朝鮮の問題に対し、安倍首相のスタンスがはっきりせず、国民が不安や不満を抱えているからだろう」と分析した。

 「『党首力』が問われている」と語るのは政治学者の姜尚中・東大大学院教授(56)。「年金などの問題に、官僚答弁でなく、断固とした決意と骨太のメッセージで国民に安心感を与えられるかが鍵を握る」

 「宣伝会議」編集長の田中里沙さん(40)は、首相を「持論の憲法改正や教育改革についてよく研究し、強い信念を持っている」と評価するが、「『おぼっちゃま』イメージが邪魔をして、弱々しく映る」とも受け止めている。「例えるなら『官邸王子』。不安定さを国民が感じるから、支持率が下がったのでは」

 ■発想転換してみたら

 コント集団「ザ・ニュースペーパー」の元メンバーで歴代首相の形態模写を続けるコメディアンの松元ヒロさん(54)は首相の就任以来、まねしづらいと思ってきた。「言葉に気持ちが入っていない気がする。そういう人はやりづらい」

 首相はここへ来て、年金問題を追及する民主党の小沢代表に対し「(支給漏れの)申し立てがあった人すべてにお支払いをしろということなんですか」(先月30日の党首討論)と発言するなど、言動に強く感情が入る場面も見られるようになった。ところがそれも「熱く話すのは安倍さんの本質ではない。浮足立っているだけ」と見えてしまうという。

 社会学が専門の橋爪大三郎・東京工業大大学院教授(58)は、発想の転換を勧める。「参院選はあくまで通過点と考えればいい。ルックスや人柄を考えると、党内に後継者は育っていない」

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