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〈決戦の現場から:5〉2議席獲得へ苦心

2007年07月21日

■千葉 逆風打開 頼りは小泉流

図

3人区で複数候補を立てた場合の「明と暗」

本間 進  52 〈元〉県議   無新

石井 準一 49 〈元〉県議   自新〈公〉

白須賀貴樹 32 歯科医師    自新〈公〉

浅野 史子 36 党県常任委員  共新

岩渕美智子 51 私立大兼任講師 国新

青木 和美 57 〈元〉中学教諭 社新

長浜 博行 48 〈元〉衆院議員 民新

加賀谷 健 63 〈元〉県議   民新

   ◇

 公示日の千葉市内の公園。安倍首相の到着を待ち、選挙カーの上に立った2人の自民党候補のあいさつは対照的だった。

 まず、マイクを握った白須賀貴樹氏は公務員制度改革などを訴え、「若さと情熱で走り続けます」と結んだ。続いた石井準一氏は政策にほとんど触れず、「自民党の公認候補として、自民党の顔として戦いに挑む」と党の名前を繰り返した。

 改選数が2から3に増えた千葉選挙区。自民、民主両党がそれぞれ2議席確保をめざす。自民党が候補者2人を擁立するのは千葉と東京だけだ。

 千葉では正反対のタイプの新顔を選んだ。

 石井氏は高校卒業後10年間、当時の浜田幸一衆院議員に秘書として仕えた後、県議を20年務め、県連総務会長など党の役職も経験した。昨年6月、県議団などに推される形で擁立が決まった。保守層の厚い郡部を地盤に、自ら率いる「石井派」の県議のほか、党友好団体の大半をおさえて組織選挙を展開する。

 白須賀氏は32歳。都市部の流山市の歯科医師で、06年に党の候補者公募をきっかけに政治の世界に。昨年9月、当時の武部勤幹事長が都市部での支持を期待して白羽の矢を立てた。「若いし演説がうまい。名前も知られていないから、人の大勢集まるところに出す」(陣営幹部)という戦術でのぞんでいる。

 「2人当選させてこそ意味がある。1人だけでは3年後には2人立てられなくなる」。公示日に開かれた県選出衆院議員の会議では、こうした意見が出た。だが、自民党への逆風をまともに受ける。

 JR船橋駅前で、白須賀氏が握手を求めた自民党支持の男性(59)は「赤城さんは何の説明もないじゃないか」と詰め寄ってきた。赤城農林水産相が事務所費問題、さらに顔の絆創膏(ばんそうこう)のわけについて記者会見で納得のいく説明をしていないとして、怒りをぶつけられたのだ。別の街頭で、自民党の候補と知った男性からいきなり平手打ちを受けたこともある。

 どうすれば跳ね返すことができるか。白須賀氏は、小泉前首相のワンフレーズと激しい言葉をまねた「小泉流」に期待をかける。

 「社会保険庁を徹底的にぶっ壊し、働かない方々には辞めてもらう」。18日、千葉市で開かれた集会で白須賀氏は絶叫した。応援演説した菅総務相も「かつて小泉さんは『自民党をぶっ壊す』と言った。私たちは社保庁をぶち壊す」と呼応した。

 05年の郵政選挙。千葉でも自民党が13の衆院小選挙区で12勝した。白須賀氏の心にもこの成功体験が刻まれている。だが、この戦術で都市住民の心をつかむことができるのか、白須賀氏にも確信があるわけではない。

■愛知 早めの政策分担で明暗

平山 良平 59 〈元〉中学教諭   社新

鈴木 政二 59 官房副長官     自現

八田ひろ子 61 党中央委員     共前

柘植 雅二 52 保険代理業     諸新

荒川厚太郎 62 〈元〉雑貨輸出入業 諸新

谷岡 郁子 53 中京女大学長    民新〈国〉

大塚 耕平 47 〈元〉日銀調査役  民現

山本  保 59 〈元〉厚生省職員  公現

兵藤 高志 45 〈元〉東浦町議   無新

   ◇

 「若い人たちにお願いがあります。選挙に行ってください」

 麦わら帽子に、青色とオレンジの絞り染めのTシャツ。民主党の谷岡郁子氏が14日、名古屋市の商店街を練り歩きながらこう叫んだ。谷岡氏は、女子レスリング世界王者が輩出した中京女子大の学長として知られ、若い無党派層の支援にも期待を寄せる。

 改選数3の愛知選挙区で、民主党は98年、04年と旧社会党系、旧民社党系の2人を擁立。それぞれ旧総評、旧同盟系の労組が競い合って、2議席獲得を果たしてきた。だが、01年は大塚耕平氏に絞り、労組もまとまって支援した。

 このため今回は、旧総評系の労組が谷岡氏支援に回るものの、党愛知県連は組織支援の枠組みを変えた。「組織が応援する男性候補」の大塚氏、「無党派を引きつける女性候補」が谷岡氏という絵柄だ。「有権者はシンプルに感じたことで選択する。ならば2人もシンプルに色分けした方がいい」(県連幹部)というわけだ。

 ところが、政策テーマまで色分けしたことで、戦略に狂いが生じた。

 6月10日、県連は年金記録問題と訪問介護大手コムスンの問題が2大争点になるとみて、「年金・介護調査対策本部」を急きょ設置。大塚氏を年金担当に、谷岡氏を介護担当に充てた。それぞれに追い風を受ける帆を立てる仕掛けだった。

 突然の提示に、谷岡氏の陣営は「年金と介護はセットなのに、何で割るのか」と疑問を投げかけた。県連の伴野豊選対委員長は記者会見で「女性の目線だから介護、経済的な大黒柱は男性、という見方もあって担当を分けた」と説明した。

 しかし、参院選が近づくにつれ、年金問題が大きな争点となる一方で、介護の問題は後退。無党派層をターゲットとする谷岡氏が、追い風を受けやすい政策の担当ではなくなってしまった。

 「年金が一番大きな争点です。三十数年間に保険料と給付金で、100兆円に及ぶ国民の資金が不適正に処理された」

 谷岡氏が商店街を練り歩いたのと同じ14日、大塚氏は演説会でこう訴えた。日銀出身で財政政策が専門。数字をちりばめながら論理的に政府・与党を批判した。

 今月初めには、大塚氏は集会などで行った「5000人アンケート」の結果を発表した。最も関心のある事項では「年金」が44%。「医療・介護」(16%)、「教育」(14%)を大きく上回った。最大の争点を正面から訴える候補者だ、と印象づける狙いもあった。

 これに対し、谷岡氏の陣営スタッフも「民主党は消費税を上げない。年金の給付水準も下げない、と訴えてほしい」と本人に頼んでいる。選挙戦半ばの20日、谷岡氏は得意の教育問題を演説する前にこう前置きした。「若者が信頼できる年金制度をつくることが大事だ」

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