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〈夏の陣 09総選挙 くらしの現場から〉雇用 国の対策、急場しのぎ

2009年8月20日

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◇低迷する事業化率

 桜の名所として知られる北上市の市立公園展勝地。周辺には国の史跡に指定されている国見山廃寺跡や、みちのく民俗村がある。これらを生かし、年間を通じたにぎわいをつくり出そうという雇用創出プログラムが春から動き出している。

 「展勝地観光資源再発見事業」。展勝地レストハウスを中心に、ガイドを養成したり、特産品を開発したりする内容だ。国が雇用対策の柱の一つとしている「ふるさと雇用再生特別基金事業」の一環としてスタートした。

 北上市有田町の高橋美枝子さん(48)はこの事業により新たにレストハウスに雇用された。雇用されるまでの職探しは困難を極めた。

 高橋さんは高校2年生と専門学校1年生の2人の子どもとの3人暮らし。安定したフルタイムの働き口を求め、パートで9年間勤めた化粧品会社を3月末に辞めた。会社側には1年前から退職を通告、当時は働き口が容易に見つかるだろうと考えていた。ところが雇用情勢が昨年秋から悪化、退職を控えて受けた4社の採用試験はすべて不合格となった。焦りの中でレストハウスの求職情報に接し、募集定員3人に28人が応募する狭き門をくぐり抜けた。

 「生活がかかっていて不安でした。採用がやっと決まった時は、うれしくて涙が出ました」

   ▽ △

 「ふるさと雇用再生特別基金事業」(略称・ふるさと)は、「緊急雇用創出事業」(同・緊急)とともに離職者を対象にした雇用対策として発案された。いずれも国が都道府県に全額を交付して作った基金を財源に、事業が実施されている。

 「緊急」の雇用期間が「6カ月未満」であるのに対し、「ふるさと」は「1年以上3年以内」と長期で、3年後の事業継続も見込まれている。

 北上市の高橋さんはこの「ふるさと」で雇用された。しかし、県全体では「ふるさと」の仕組みがうまく機能しているとは言えない。

 県は「ふるさと」で64億9千万円の基金を造成。09年度は21億1千万円の事業を見込んで予算化した。しかし、8月7日現在で、具体化されたのは14億3千万円、事業化率は約67%にとどまっている。事業は県と市町村に分かれており、市町村の事業化率は6割を切る。

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 事業にあたっては、いくつかの条件がある。民間に委託して行い、3年後の事業終了後も雇用継続が求められ、事業期間中に利益を上げると利益分の委託費を返還しなければならない。

 花巻市や宮古市などは「民間の自由な発想を生かそう」と企画案を民間から公募した。しかし、事業化率はなお低迷している。担当者は「要件が厳しく、使い勝手が悪い」と口をそろえる。市町村から不満の声が上がり、県は厚生労働省に6月半ば、事業化の条件を緩和するよう申し入れをした。

 県の雇用対策・労働室の津軽石昭彦雇用対策課長は「今のままでは、民間は事業化に慎重にならざるを得ない。より柔軟に考えるべきで、国の雇用対策は現場から遠い」と指摘する。急場しのぎの感がある国の雇用対策の中で、6月の県全体の有効求人倍率は前月に続く0.32倍と、43年ぶりの低水準を抜け出せてはいない。(但木汎)

<主要政党のマニフェスト概要>

●自民党

 雇用調整助成金制度などでワークシェア推進。非正規労働者の待遇改善。3年で100万人に職業訓練。70歳現役社会に向け対策。

●民主党

 最低賃金の引き上げ、及び引き上げに向けた中小企業支援。製造現場への派遣原則禁止。全労働者に雇用保険。

●公明党

 派遣制度の見直し。再就職支援付き住宅手当の拡充。非正規労働者の社保適用を拡大。中小企業支援予算を倍増。

●共産党

 権利擁護のため労働法制を改正。失業者の援助強化。社会保障を充実し雇用を拡大。最低賃金を引き上げ。

●社民党

 最低賃金を引き上げ。派遣法を改正。非正規労働者の均等待遇実現。職業訓練中に生活保障月10万円支給。

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