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〈09政権選択さが〉FTAめぐり攻防戦 自民、県農政協と反攻

2009年8月23日

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 民主党がマニフェストに「米国との自由貿易協定(FTA)交渉促進」を盛り込んだことに対し、自民党が「日本農業を壊滅させる」と危機を触れ回っている。長らく盤石だった県内農山村で、農家の「戸別所得補償」を掲げて浸透しつつある民主の政権担当能力に、疑問符を突きつける格好の材料だ――。「反FTA」に的を絞り、自民は農業団体と一体で反転攻勢のキャンペーンに打って出ている。

 (市川雄輝、白石昌幸)

 21日午後1時、炎天下のJAさが三日月支所(小城市三日月町長神田)の駐車場に農業者約250人が集った。

 県内3小選挙区で自民候補を推薦する農協の政治団体、県農政協議会の支部組織による「日米FTA断固阻止緊急小城市大会」。JA全国女性組織協議会の藤木智恵子副会長(小城市)は「米国から安い農産物が押し寄せ、日本農業は赤子の手をひねるようにやられてしまう」と声を張り上げた。

 選挙カーで会場に駆けつけた佐賀2区の自民前職、今村雅弘氏も「食品加工業も運送業も壊滅し、ふるさとの農業も滅びてしまう」と唱え、「ふるさとを守る本当の戦いだ」と支援を求めた。

 FTA論争の端緒は、民主党が7月末に発表したマニフェスト。「米国との間で自由貿易協定を締結」の文言が農協などの反発を招くと、文言は急きょ「締結」から「交渉を促進」に修正され、菅直人・党代表代行が記者会見で「主要農産物の関税引き下げ・撤廃等を行わない」と言明した。

 だが、自民党や同党と歩調を合わせてきた県農政協は、ここぞとばかりにFTA問題で民主党批判を強めている。

 1区の自民前職、福岡資麿氏も21日夜、佐賀市内での個人演説会で「協定を結べば、安い米が入ってきて、日本の農業は壊滅的な打撃を受ける」と訴えた。

 自民・岩永浩美参院議員は党公認候補の応援でマイクを握るたび、自民が下野していた93年、細川内閣が米の部分的な市場開放に応じたことに言及し、「自民以外に任せたらどうなるかを思い起こすべきだ」と訴えている。

 県農政協も「日米FTA断固阻止」と銘打ったA4判10ページの「会報臨時号」を7万部印刷して傘下組合員に配り始めるなど、総選挙と連動したキャンペーンを始めた。農政協幹部は「末端組合員まで関心が広がっていない。投開票日にどこまで行き渡るか。時間との勝負だ」と話す。

     ◇

 民主党は火消しに努める。2区の前職大串博志氏は公示直前、FTA論争をめぐる事情説明のため、農業問題に絞った緊急集会を相次いで開いた。公示前日の17日夜、白石町での集会では「舌足らずな説明で誤解を与えた」とわび、「貿易交渉で農産物を除外するのはごくごく当たり前の話だ」と支持者の懸念に丁寧に答えた。

 1区の民主前職原口一博氏は20日夜、神埼市千代田町で開いた総決起集会で「(自民党は)鬼の首をとったように批判するが、日本の農業をすべて自由化してつぶそうという人は民主党にはいない」と反論。「国際的に戦える政治家を国会に送ってほしい」と訴えた。陣営は「説明すれば納得頂けている」。

 今の農政に不満を感じ、民主支持に回った県中部の兼業農家男性(55)は、自民党や農政協の攻勢ぶりをこう評した。「転がり込んだ敵失に色めきたっているだけ。なぜ離反する農家が出てきているのか、謙虚な反省も何もない」

■民主党マニフェストのFTA記述

 修正前(7月27日発表) 米国との間で自由貿易協定(FTA)を締結し、貿易・投資の自由化を進める。

 修正後(8月11日発表) 米国との間で自由貿易協定(FTA)の交渉を促進し、貿易・投資の自由化を進める。その際、食の安全・安定供給、食料自給率の向上、国内農業・農村の振興などを損なうことは行わない。

◆キーワード

 <FTA>(自由貿易協定) 貿易活性化のため、特定の国・地域の間で互いに関税を削減・撤廃する協定。世界貿易機関(WTO)に加盟する153の国・地域による多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)がなかなか妥結しないため、世界各国・地域が個別に締結へと動き出している。日本は、労働力移動などのルール作りも含めた経済連携協定(EPA)をタイ、シンガポールなど9カ国・地域との間で発効済み。いずれもコメなどの主要な農作物を除いた内容となっている。

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