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〈夏の陣 09総選挙 くらしの現場から〉教育 影落とす経済的「格差」

2009年8月25日

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 県内の専門高校で進路指導を担当する女性教員(36)は、大学進学を望みながら、経済的な理由で果たせなかった生徒を見てきた。多くは親に本音も告げず、ひっそり夢をあきらめていく。「もったいないけど、学校はどうにもできない」

 教育現場で、「格差」が目に見えるかたちで影を落とし始めている。

 県教育委員会によると、県立高校の授業料減免を申請する生徒は増加傾向にあり、08年度は2607人にのぼった。経済的に厳しい家庭で、公立の小中学校に通う子どもに給食費や学用品、修学旅行費などを支給する「就学援助」も、03年度の7823人(全体の6.2%)から08年度は9680人(同8.5%)に増えた。

 とりわけ深刻なのが、母子世帯だ。

 沿岸部の食品加工会社で準社員として働く佐々木良子さん(41=仮名)は2年前に離婚し、地元の県立高に通う次女(15)と2人で暮らしている。給料と児童扶養手当を合わせても収入は月約14万円。住宅ローンや光熱費、食費などを引くと、手元に残るのは1万円ほどだ。

 毎月の授業料や修学旅行費の積み立て金、クラブ活動費が家計に重くのしかかる。佐々木さんは最近、授業料の減免を申請した。「離婚は親の勝手な都合だから、子どもが進学したいのなら絶対にかなえてあげたい」

 県児童家庭課によると、03年度に1万2378世帯だった県内の単親世帯は、08年度は1万3409世帯に増えた。生活保護を受ける母子世帯は09年度(月平均、6月現在)は484世帯で、5年前と比べると3割増だ。厚生労働省の06年度調査では母子世帯の母親の85%が働いているが、平均所得は213万円で全世帯平均の4割以下だ。

 教育費の負担を減らそうと、各党は子ども手当の創設や授業料の無償化、給付型奨学金の充実など様々な支援策を政権公約に盛り込み、単親世帯への支援もうたう。

 だが、佐々木さんは「授業料をタダにするより、親が働きながら子育てできる環境づくりの方が大事では」と話す。専門高校の女性教員も「奨学金が生徒の授業料や進学費にまわらず、家の生活費に消える。親への経済援助が教育格差を解消するかは疑問」と言う。

 盛岡市の県立盛岡三高で進路指導に携わる廣瀬謙三教諭(45)は「高校の授業料を無償化しても、あまり実態は変わらない」と言う。

 中学生時代に塾の講習や通信教育を受けられるかどうかで学力に差が出る。親の経済状況によって大学進学や高校の進学先も左右されるのが現実だという。「高校入学前に教育格差は出ている。雇用状況の改善など根本的なところを変えなければ、教育機会は均等にならない」

 (平井恵美)

<主要政党のマニフェスト概要>

●自民党

 高校、大学での新たな給付型奨学金、就学援助制度の創設。低所得者の授業料無償化。

●民主党

 公立高校の授業料を無償化。私立高校生は年12万〜24万円を助成。大学生ら希望者全員が受けられる奨学金を創設。

●公明党

 就学困難な高校生の授業料減免、給付型奨学金制度の導入。ひとり親家庭への支援の充実。

●共産党

 公立高校の授業料無償化と私学への授業料助成。給付型奨学金制度を創設。母子加算復活。

●社民党

 高校の入学金・授業料を無償化。給付型奨学金を増やし、私学助成を充実させる。母子加算の復活。

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