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〈深層群馬〉暮らし好転期待 ブラジル人も関心、総選挙

2009年8月26日

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 自民党から民主党に政権が交代するかどうかが最大の焦点となっている今回の総選挙。関心があるのは国民だけではない。働く場を求めて来日し、県内で暮らすブラジル人らも注目している。(新宅あゆみ)

 日本在住のブラジル人らを支援する伊勢崎市のNPO法人には、毎月100件ほどの相談が寄せられる。「解雇されて家を失った」「食べ物に困っている」「子どもの学費が払えない」……。

 土日にNPOの活動を手伝う日系ブラジル3世の秋元・ビニシウス・光さん(21)は、「なぜ困っている人がこんなにいるのか」とやるせなくなる。

 県内の外国人登録者は約4万8千人で、ブラジル人は最多の1万7千人を占める。祖父が日本人の秋元さんは、出稼ぎ目的の両親とともに日本とブラジルを行き来し、05年に4度目の来日をした。昨秋の世界的な経済危機は、太田市や大泉町の工場などで働くこうした外国人の生活を直撃した。

 外国人雇用サービスコーナーがあるハローワークでは、外国人の求職申込件数が増えている。今年6月は太田、伊勢崎、前橋合わせて約550件で、1年前の約2.5倍に上る。今年1月をピークにやや減少したが、それでも高い水準が続く。

 好景気で人手不足のときは低賃金で働く外国人は重宝されるが、不況になると真っ先に職を失う――。そんな構図が浮かぶ。

 秋元さんも、昨年秋に高崎の自動車部品工場を解雇された。幸い、知人からハローワークでの通訳の仕事を紹介された。

 日系人のうち母国での再就職を決めた人に対して、30万円の旅費を支援する帰国支援制度が4月に創設された。「外国人が相談に行くと、制度の説明をされる。だが、ブラジルでも仕事を見つけるのは大変。日本でできる仕事があるかもしれないのに」

 ハローワークでは、職業能力を育成するプログラムもあまり説明されていなかったという。医療保険を知らない外国人がいることも知った。

 外国人自身の知る努力も必要だが、受け入れ国も制度などを外国人が知ることができるよう十分サポートをする必要があると思う。すべての外国人を対象に、医療保険制度などの説明会を開くなどの対策を取って欲しい――。

 2月から県国際課で働いている秋元さん。「日本は多文化共生の国。だからこそ外国人を受け入れる努力をしてほしい」

    ■    ■

 7年前、ブラジルで政権交代が実現した。失業対策が争点となった大統領選で、財政健全化のため歳出削減を実行してきた現政権を、「失業率の高さを招いた」と批判した労働党のルラ氏が当選。ルラ氏は貧しい家庭に生まれ、「庶民派」と言われた。

 日系ブラジル3世の矢野キサさん(31)は日本にいた。選挙後の国民の熱狂ぶりはブラジルに残った家族の話や報道を通じて知るだけだったが、「米国のオバマ大統領が誕生した時のようだった」と言う。「選挙による政権交代を経験していない日本でもし実現したら大きなこと」

 矢野さんは95年に来日した。中学1年と小学5年の2人の子どもと太田市で3人で暮らし、県の団体など3カ所で通訳として働いている。

 ブラジルでは公立の小中学校の授業料は無料だ。ここでは学校の教材費や給食費に月3〜4万円かかり、さらに塾や習い事にも通わせている。高校進学で教育費はもっと増える。「余裕がないので、あまり無理をしない範囲でお金をためている」。各党がマニフェストに掲げる子育て支援策は大きな関心事だ。

 今度の総選挙では、日本で子供を育てる自分の暮らしが「良くなるかもしれない、との期待がある」。選挙権はないが、投開票の結果を待つ。

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