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〈09政権選択 生活と政策:下〉見直し公約、厳しい目

2009年8月26日

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◇障害者自立支援法に募る不満

 日曜と祝日以外ほぼ毎日、2時間近くかけて通所授産施設に通う。そこではホチキスを使ってパンフレットをとじたり、糸のこで木を切断したり。札幌市北区の葭原(よしはら)常雄さん(53)の日常だ。

 知的障害と足の障害がある。給与は月1万円、賞与は年2回で計2万円。これに障害等級に応じた年約99万円の障害基礎年金を合わせて計約113万円が年間収入だ。

 支出は施設の給食代が1回400円。ケアホームには家賃・食費・共益費として1カ月6万5千円を払う。さらにホームで受けるサービスについては別途、障害者自立支援法の「受益者負担の原則」に基づいて毎月2120円を払っている。

 「国に家賃を補助してもらいたい。病気になったら不安」と葭原さんは言う。道内には、葭原さんと同じように知的障害がある人が08年3月末で少なくとも4万1千人いる。

 障害者が地域で安心して暮らせる社会を実現する――。その理念のもと、同法は06年4月に施行された。受益者負担についても、国は「増大するサービス費用をみんなで支え合う仕組み」と説明する。

 しかし、現場で評価する声はほとんど聞こえてこない。様々な軽減措置があるとはいえ、「福祉サービスの費用の原則1割負担」が義務づけられたことに対する不満が大きい。障害基礎年金などの収入が乏しいため、手元に残るお金があまりにも少なくなるからだ。

 そこで政府は、1割負担を見直して支払い能力に応じた負担(応能負担)に変え、グループホームなどを利用する際に助成する同法改正案を今年の通常国会に提出したが、衆院解散で廃案になった。

 障害者や家族・支援者らの不満は募っている。今月10日に札幌市で開かれた政党と障害者らとの意見交換の会合で、「北海道手をつなぐ育成会」の佐藤春光理事は、こう言って声を荒らげた。「障害者の親の苦しみを分かっていない。障害者が普通に地域で暮らせない条件があるとすれば、それを直すのが政治だ」

 社会格差の広がりが指摘されて久しいだけに、各党のマニフェスト(政権公約)には福祉分野の政策がずらりと並んでいる。

 その中の障害者政策を見ると、自民党は「改正案を次期国会で成立させる」と明記し、負担の大幅軽減を続け、福祉・介護の人材の処遇などを改善するとしている。

 対する民主党は、同法廃止を掲げ、応能負担と所得保障を取り入れた新法を制定する考えを打ち出した。障害者福祉予算の拡充や障害者雇用の促進も約束している。

 だが、「北海道知的障がい児・者家族会連合会」の宮田武事務局長は「法律や制度をどんなに改めても、人とモノと金をきちんと付けてくれないとだめだ」と手厳しい。

 「北海道知的障がい福祉協会」の光増昌久副会長も「住宅にかかる補助とか、施設で働く職員の雇用体系の問題もある。障害当事者の視点に立ち、総合的な政策が必要だ」と指摘している。(神元敦司)

■主な政党の障害者福祉政策

自民 障害者自立支援法の抜本的見直し。負担の大幅軽減継続。事業者の経営基盤安定

民主 支援法廃止、応能負担の新法制定。所得保障。障害者の福祉予算拡充と雇用促進

公明 グループホーム等の緊急整備や従事者などの処遇改善。障害基礎年金引き上げ

共産 支援法廃止。福祉施設などの報酬日払い制中止。労働者賃金3万円以上引き上げ

社民 支援法廃止。総合的な障害者福祉法制定。生活の場などの拡充と就労支援策強化

大地 支援法廃止。障害のある人に優しい街づくり推進。福祉関連事業の雇用の場増加

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