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比例「棚ぼた」当選 1票の意思、ゆがむ恐れも

2009年9月1日7時36分

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図拡大近畿ブロック(定数29)の「議席譲渡」の状況

 本来なら比例区で議席を得るはずの政党が、候補者不足などが原因で、その議席を他党に明け渡す――。今回の総選挙で、こんな「議席譲渡」が近畿ブロック(定数29)で3議席、東海ブロック(同21)で1議席起きた。公職選挙法に沿った措置だが、識者からは「有権者の意思をゆがめる」との指摘も出ている。

 比例区では、各党の得票数を1、2、3……と整数で割った「ドント商」の値が大きい順に当選者が決まる。今回の近畿ブロックは、民主は本来13議席獲得できた。しかし、小選挙区の勝ち抜けが多く、最終的に比例名簿には11人しか残らず、2議席が他党に回った。一方、みんなの党は1議席分の比例票があったが、唯一の比例候補の小選挙区の得票が有効投票総数の1割に満たず、比例復活当選の要件を満たさなくなった。

 このため、ドント商で民主を除く上位の自民に2議席、公明に1議席、当選が移った。みんなの党は、東海ブロックでも唯一の比例候補が同じ理由で当選できなくなり、1議席が民主党に流れた。

 岩井奉信・日大教授(政治学)は「ある政党に投票したのに、その分の議席が全く反対の主張をしている政党に回れば、有権者の意思が尊重されないことになる。候補者が足りない場合、定数を減らすとの考え方があってもいい」としたうえで、「小選挙区で落選しても復活当選する重複立候補の仕組み自体に国民が納得していない面がある。制度そのものを考え直すことも必要だ」と話す。

 森裕城・同志社大教授(政治学)は「(議席譲渡は)前回に続いて起きており、民意が正確に伝わらないという点で問題を感じる。ただ、国会議員が大きな権力を持つことを考えれば、誰でもいいから名簿に載せるという方が問題だ」と指摘する。

 一方、総務省の鈴木康雄事務次官は31日の記者会見で、「そういった事態があっても現行方式がよいという国会の意思だったと思う。選挙制度は各党各会派で検討いただくべきだと思っている」と述べるにとどめた。(今村尚徳)

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