現在位置:
  1. 2009総選挙
  2. ニュース
  3. 記事

景気対策、複雑な方程式 新政権はや正念場

2009年9月1日1時16分

印刷印刷用画面を開く

図拡大1990年〜09年の日経平均株価の推移

 総選挙での「民主党圧勝」から一夜明けた東京金融市場は、日経平均株価が一時は年初来高値をつけたが、急速な円高もあって下落に転じるなど、今後に対する期待と不安が交錯した。市場では年末から来年初めにかけて景気は減速するとの見方も根強く、新政権は経済運営で早速「正念場」を迎えることになりそうだ。

■「ご祝儀」高値も一瞬だけ

 「午前の株価上昇は、民主党への『ご祝儀相場』。今後は、新政権の顔ぶれや具体的な政権運営を見極めながら推移するだろう」(大手証券)。31日の東京株式市場では、こんな見方が目立った。

 日経平均株価は午前中に一時、前週末比232円86銭高の1万0767円00銭をつけ、取引時間中の年初来高値を更新。民主党政権による子育て支援策で恩恵を受けるとみられる育児関連銘柄に買い注文が集まった。

 同時に東京外国為替市場では、衆参のねじれ解消による政局安定を好材料に「日本買い」の思惑が広がり、円相場は1カ月半ぶりに1ドル=92円台に急反発。一時、前週末午後5時時点より1円38銭円高ドル安の1ドル=92円54銭まで上昇した。

 その後、株式市場では円高や中国の株安を受けた売り注文が相次ぎ、結局終値は41円61銭安い1万0492円53銭。外為相場の円高も、短期的な動きとの見方が多い。民主圧勝で市場に高揚感が漂ったのは一瞬だけだった。

 一方で債券市場の反応は比較的冷静だった。長期金利の代表的な指標の新発10年物国債の流通利回りは一時1.3%の大台を割り、1.295%に低下(債券価格は上昇)。景気の先行きへの不透明感から、株式より安定的な債券に人気が集まる状況には、民主党圧勝でも変化が見られない。政権交代をひとまず好感しつつも、景気回復への「特効薬」と見る向きはない。新政権がマニフェストに沿って今年度予算の組み替えや来年度予算編成をどのように行うのか。株式市場や円相場は、その動向に左右されそうだ。

■公共事業カット、両刃の剣

 民主党を中心とした政権の誕生で景気はどうなるのか。

 第一生命経済研究所の熊野英生氏は「民主党は複雑な方程式を解く必要に迫られる」と指摘する。民主党は公共事業費や公務員人件費のカットなどで財源をうみだし、子ども手当や高速道路無料化などの目玉政策を行う考えだが、公共事業費のカットなどは短期的には景気にマイナスの可能性もある。「ムダをカットして何が変わるのかを具体的に見せないと、失望が広がりかねない」(熊野氏)

 09年4〜6月期の実質国内総生産(GDP)は前期比年率3.7%増と、1年3カ月ぶりのプラス成長となった。政府の景気対策でエコカー減税やエコポイント、公共事業費の増額が行われた効果が大きく、民間エコノミストの多くは7〜9月期もさらにプラス幅が拡大すると予測する。

 だが、定額給付金の効果は切れつつあるとされ、年末にかけてエコカー減税、エコポイントの効果も薄れそうだ。10年1〜3月期に再びマイナス成長に陥るとの見方もある。7月の失業率が過去最悪の5.7%となるなど、回復の実感にはまだ遠く、追加の景気対策を求める声が強まる可能性がある。

 年末以降に再びマイナス成長に陥り、世論の支持が低下すれば、「公共事業費削減といった政策の基軸を、変えざるを得ない可能性もある」(野村証券金融経済研究所・木内登英氏)。新政権発足後の「ハネムーン期間」を過ぎても、マニフェスト(政権公約)に掲げた経済政策を続けられるか。不透明な景気と世論の動向を見定めながらの経済財政運営を強いられそうだ。

検索フォーム