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議員名簿本、急ピッチ ルーキー取材に大車輪

2009年9月5日9時15分

印刷印刷用画面を開く

写真「国会議員要覧」の編集現場。せわしなく動く手元のゲラには、海部俊樹氏ら、落選者の名前が赤線で消されていた=3日、東京都渋谷区の国政情報センター、金川雄策撮影

 総選挙での新旧議員の入れ替わりを受け、国会議員の略歴などを収録する「便覧」や「要覧」の出版社は最新版の発行準備に大忙しだ。特に今回は民主党が308人と大量当選し、うち143人が新人議員。資料集めなどを一から始める必要があり、スタッフは「しばらくは休日返上です」と急ピッチで作業を進めている。

 「国会議員要覧」を発行する東京・渋谷の国政情報センター。スタッフが過去の議員一覧表を前に、一人一人の名前を確認していた。落選した議員は赤線で消し、新たに加わった議員を書き込んでいく。自民党の大物・長老議員が並んだページでは、赤線でいっぱいになった。

 同書は1983年の創刊。部数は初版で約5万部で、現在は62版が発売中だ。官公庁や自治体、上場会社などのほか、個人の愛読者も多くいるという。国会議員の連絡先が掲載されているため、議員を訪ねる陳情団などにも人気を集めている。通常、毎年2月と8月に発行されるが、今回は選挙と新内閣の組閣を待ち、10月上旬に遅らせた。

 現在、最も力を入れているのが、当選議員のプロフィル確認。スタッフが議員会館の各部屋を回り、アンケート用紙にデータを書き込んでもらう。再選組は過去の資料をもとに変更点がある場合だけ手直ししてもらうが、新人議員はすべてのデータを議員側に記入してもらう必要があり、その分手間がかかる。中島孝司社長は「営業の職員を担当に回すなど万全の態勢で臨みたい」と話す。

 同じく10月初めの発行を目指す「国会便覧」の日本政経新聞社(東京・南青山)。1954年創刊の老舗(しにせ)で、現在は124版が発売されている。2月と8月の年2回発行しているが、昨年秋から衆議院の解散、総選挙がうわさされたためか、2月版は買い控えの動きがあったという。

 しかし、今回は政権交代への期待からか、小泉ブームにわいた郵政選挙後と同様に、注文や問い合わせが集まっているという。菊岡信子社長は「新しい閣僚や議員に注目が集まっているのでしょうか。広く一般の方に関心を持って頂ければ」と期待している。

■政変にほんろう

 一寸先は闇とも言われる政治の世界を扱うだけに、「国会便覧」や「国会議員要覧」のような名簿本は、政局の変化に振り回されがちだ。

 2カ月余りに終わった1989年の宇野内閣。当時、新閣僚を反映した「国会便覧」の準備が進められたが、発売前に内閣が総辞職したため、お蔵入りに。だが、同内閣の官房長官だった塩川正十郎氏側が「記録用」として千部を特注して買い取ったという。

 明暗が分かれたのが、30日間とさらに短命だった安倍改造内閣。「国会便覧」は、印刷を始める予定の数時間前に首相退陣のニュースが流れ、急きょ取りやめたという。だが、「国会議員要覧」は印刷を開始していたため、約5万部が廃棄処分となり、大きな損失となってしまった。

 福田改造内閣では、「国会議員要覧」「国会便覧」ともに、発行後、福田首相が突然に辞意表明。すでに発売されていたこともあり、特段の影響はなかったという。(島康彦)

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