【北京=坂尻顕吾】日本、中国、韓国の3カ国は次の日中韓首脳会談を10月8日に中国・天津市で開催する方向で最終調整に入った。中国政府筋が8日、明らかにした。16日に首相に指名される民主党の鳩山代表は「アジア重視」を掲げており、発足直後に首脳会談を開くことで日中韓の連携を世界に印象づける狙いがある。
首脳会談には鳩山氏、中国の温家宝(ウェン・チアパオ)首相、韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領が出席する。
年1回開かれる首脳会談の今回の主催者は中国。前回は日本が主催し、麻生首相の故郷である福岡で開催したことから、中国側は温首相の出身地の天津での開催を調整してきた。当初は、麻生政権下の開催を想定して8月下旬の日程を日韓両国に打診したが、日本が衆院解散・総選挙を迎え、日程を確定できないままでいた。
だが、先月30日の総選挙で民主党が大勝。中国政府筋によると、今月に入って日本側から「10月中の日中韓首脳会談の開催」を求められたという。中国側は「次期首相の強い意向」と理解している。中国は10月1日の建国60周年の記念式典後、できるだけ早い時期として10月8日開催を日韓両国に伝えた。
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別の外交筋も、日本側の準備が間に合うか見極める必要があるとしつつ、10月8日で調整していることを認めた。
鳩山氏は5月の党代表就任後、初外遊で韓国を訪問。歴史問題を克服して経済発展に活路を見いだしたい意向が強く、アジア重視の姿勢を鮮明にしている。月刊誌の9月号では「東アジア共同体の創造」も提唱。「アジア共通通貨の実現」を優先するなどの具体案を示した。
一方、鳩山氏は「日米同盟は外交の基軸」としてきた従来の政府の立場も継承。首相就任後の初外遊は米国を訪れ、日米首脳会談も調整中だ。
4日に中国の崔天凱駐日大使と会談した際には「米中がよくなれば日本も、日中がよくなれば米国もよくなる関係にしていこう」と表明。首相就任直後、米中両国を相次いで訪問する首脳外交は、こうした姿勢の反映と言えそうだ。