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業界泣き笑い、民主党マニフェスト「皮算用の秋」

2009年9月8日15時3分

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 高速道路の無料化、酒税の見直し、子ども手当……。新政権を担う民主党のマニフェスト(政権公約)や政策集の実現で影響を受けそうなユーザーに様々な反応が広がっている。いずれも生活に身近な政策。業界の利害にも直結しかねないため、関係するメーカーなどもその行方を注視している。

■高速無料化…ETC車載器買い控え

 民主党が目玉政策に掲げるのが、高速道路の段階的な無料化だ。政策が実現すると、今は値引きに必需品のETC車載器は不要になる。

 「民主党政権になれば車載器はいらなくなるのか」。さいたま市の自動車用品店には、こんな問い合わせが相次いでいる。予約客に入荷の連絡をしても「どうせ高速は無料になる」「民主党政権の動向を見守りたい」とキャンセルしたり、保留したりする人が半数にのぼるという。

 愛知県の自動車ディーラーでも投開票翌日の8月31日、注文キャンセルが数件あった。その後、いったんキャンセルした人から再注文が入ったこともあり、ユーザーも戸惑っている様子だという。社員の一人は「いつ無料化するのか、早く決めてほしい。振り回されるのはこりごりです」とこぼす。

 仙台市の会社員男性(30)はネットオークションで車載器を購入しようとしたが、高値で落札できない状態が続いていた。だが、政権交代が現実味を帯びた8月中旬、落札者がキャンセルして購入する権利が回ってきた。「買っていいか迷います」と話す。

 ETCメーカーも対応に苦慮している。パナソニック(大阪府)はタイの工場を24時間稼働させて生産を続けている。担当者は「実際に無料化されれば影響はあるだろうが、まだ具体的な政策が出ていないので何も決めていない」。一方、富士通テン(神戸市)の担当者は「すでに買い控えの動きは始まっているので、市場の動きに柔軟に対応できるようにしたい」と話す。

■酒税見直し…業界、発泡酒値上げを警戒

 酒税の見直しは「アルコール度数に比例した税制とすることを検討する」というもの。実現すれば、ビールは値下げとなる一方で、発泡酒や「第3のビール」は値上げになってしまう見込みだ。

 発泡酒の税額は350ミリリットルの1缶あたり約47円。ビールは約77円。この税率の違いが安さのからくりだった。大手メーカーの社員は「税率が変われば卸価格も変えざるを得ない。ビールが下がるのはいいが、安さで売れていた第3のビールの値上げは困る」と心配する。

 清酒やワイン、ウイスキーなど度数が高いものも値上げになる可能性がある。関西の清酒メーカーのマーケティング担当者は「むやみやたらな改正で小売価格まで影響が出るのは納得できない。若者を中心に清酒離れが進んでおり、清酒の需要をさらに減退させるのは確実で、業界として賛同できない」と話す。

■子ども手当て…育児関連企業の株価上昇

 一方、「子ども手当」は教育や子育て関連業界に恩恵を与えそうだ。少子化に悩むだけに、期待が高まる。

 関東で約120校を展開している早稲田アカデミー(東京)の広報担当者は「学習塾市場は縮小傾向なので、子育て重視の政策はプラスになる」と歓迎する。今月から小学校低学年に算数を教える「アルゴクラブ」を9校から14校に増やす計画で、学習塾に通う低学年生の増加につながる「追い風」を期待する。

 おむつや幼児用玩具などの需要がいずれ増えるという期待も起きている。民主党が大勝した7月の東京都議選以降、紙おむつなどを手がける「ユニ・チャーム」(愛媛県)、幼児用品の「ピジョン」(東京)、玩具大手の「タカラトミー」(同)の株価が上昇傾向になった。

 ある育児関連企業社員は「手当はありがたいが、民主の政策が持続的に実現するか不明。過度に期待して新しいサービスを拡大するのには早すぎる」と慎重だ。(島康彦、湯地正裕)

    ◇

■民主党がマニフェストや政策集で掲げた方針

●高速道路 通行料は原則として無料。段階的に進める。

●酒税 国民の健康確保を目的とする税に改め、アルコール度数に比例した税制を検討。

●子ども手当 中学校卒業まで、子ども1人あたり月額2万6千円を支給。出産時助成金も拡充。

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