【冒頭発言】
先ほどの閣議で、この内閣は総辞職をしました。昨年の9月の24日の発足以来、約1年。国民の皆さまからいただいたご支援に改めて心から感謝を申し上げます。
私は就任時の所信表明で、強い日本をつくること、明るい日本というようなことを、国民の皆さまにお約束をさせていただきました。1年という短い期間ではありましたが、日本のために全力を尽くしたと思っております。
戦後最大ともいわれた世界同時不況への対応、テロ対策や海賊対処などの国際貢献、また、北朝鮮や新型インフルエンザへの対策、危機というものから国民を守ること。そして、安心な社会を目指すこと。残念ながら、道半ばで退任することになりました。
いま日本は、多くの難しい課題に直面をいたしております。しかし、振り返ってみてください。日本は64年前、敗戦の焼け野原から立ち上がって、半世紀以上にわたって、平和と繁栄を続けます。これは、諸外国から見て、尊敬される成功モデルでもあろうと存じます。
そして、いま、日本には将来への発展の種が多くあります。特に、今後の経済発展の死命を制する、そういわれております省エネの技術や環境技術において、日本は世界の先頭を走っております。豊かで安心な社会と、そして勤勉な国民性も健在であります。国民の努力、そして政府の適切なかじ取りがあれば、日本が発展しないはずがないと存じます。自信と誇りを持っていると思っております。
その発展のうえに立って、安心社会を築いていくべきであり、あわせて日本は、国際社会の一員として、世界に目を向けていかなければなりません。内向きになっていてはだめです。アジアの日本、世界の日本として、国際社会の安定と発展に一層貢献していかなければならないと存じます。
私は、日本と日本人の底力に、一点の疑問も抱いたことはありません。これまで、幾多の困難を乗り越え、発展してきた日本人の底力というものを信じております。日本の未来は明るい。未来への希望を申し上げて、国民の皆さんへのメッセージとさせて頂きたいと存じます。ありがとうございました。
最後になりましたが、一年間お付き合い頂きました記者の皆さま方に対して御礼申し上げ、私からのごあいさつとさせて頂きます。ありがとうございました
【政権一年】
――総理がこの一年間、麻生政権で最も実績をあげたというものは何か。それから、やり残した課題というもの、あるいは、こうすれば良かったといま思っているものはあるか。
「歴史の評価が出てくるというには、もう少し時間がかかると存じますが、100年に1度といわれた経済不況、アメリカ発同時不況、リーマン、いつかな、9月の14日ですから、丸1年ということだと思います。この世界初の同時不況に対して、迅速に対応できた景気対策、経済対策、4度にわたる予算編成を半年あまりで、そういう大胆な経済政策を打ったことということが、実績として誇れるのではないか。そういう感じがいたしております。やり残したことといえば、この経済対策はまだ道半ばということだと感じますが」
【鳩山新政権】
――鳩山新政権に望むことは何か。また現政権にとって新政権に引き継いでもらいたい政策があれば聞きたい。
「そうですね。基本的には日本という国の国家国民の利益を守る、すなわち、生活を守る。同時にこれだけ国際社会のなか、193カ国、193というのは国連加盟国の数ですが、193カ国のなかにあって、やはり国際社会の一員として、日本に期待されているものというのは大きい。で、それへの貢献ということで、手法が変わるということは十分にあり得ると思いますけれども、政府として行うべきことにそんなに変わりはないのではないかと思っております。あの、新政権には、景気回復というものは、私はまだ道半ばだと思っておりますので、中国でもどこでも、これはちょっとマクロ経済とか国際金融に理解があれば、いまどういう状況にあるのかということはお分かりをいただけるんだと思いますので、そういった意味では、景気回復というものを確固たるものにしていただけるように努力していただきたいということと、日本を取り巻く国際情勢というものはやっぱり冷戦崩壊後かれこれ20年、ずいぶん変わってきたと思っておりますので、そういった国際情勢、うーん、テロ、海賊、いろいろありますけれども、こういったものへの対処というものを的確に対応していただくということは願ってやまないところでありますし、大いに期待もいたしております」
【自民党総裁選】
――自民党総裁選挙のことについて。自民党は今回の敗戦をうけて、政権奪回をはからなければならないが、新しい総裁としてどんな方がふさわしいと考えか。また、何人かが立候補表明、あるいは、意欲を示しているが、意中の方がいれば教えていただきたい。
「ここは自民党がいろいろなベテラン、若手含めて一致団結。これは選挙をやったうえで、地方の意見というものもいろいろありますんで、そういったものをとりまとめたうえで、一致団結をはかっていかねばならんところだと思いますんで、あの、選挙、総裁選挙が終わった後、きちっと対応ができる、そういった自由民主党として何が問題だったのかという点を踏まえて、いろいろ分析は今からなされていくところだと思いますんで、これを踏まえて、それの対応をきちんとやっていただける方だと思いますんで、やっぱり、日本という国の、何というのかな、どなたかが使われた言葉でしたね、国柄とかいろんな表現がありましたけれども、きちんと日本という国が歴史と伝統をふまえてきちんと立ち上がっていく、そういった基盤というものを腹にすえて対応していただける人物が望ましい。具体的な名前を私の立場から言うことはありません」