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《ルーキー:上》未来へ責任 20代訴え

2009年7月26日

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写真街頭で支持を訴える立候補予定者=21日午後2時22分、神奈川県横須賀市、豊間根功智撮影表

 「必ず勝てよ」。21日午後2時半、東京・永田町の民主党本部で公認証書を受け取った横粂(よこくめ)勝仁(27)の両手を強く握りしめたのは代表代行の小沢一郎だった。横粂は上気したまま選挙区に向かった。

 神奈川県横須賀市と三浦市にまたがる神奈川11区だ。前回の郵政選挙で時の首相、小泉純一郎が民主候補の4倍近い19万票を得て圧勝。民主の支部がここでの候補者擁立を断念しかけていた昨年9月、純一郎から「親ばかぶりをご容赦いただきたい」と後継指名された次男、進次郎(28)。それが横粂のライバルだ。

 2カ月後、横粂はここで公認内定を得る。記者会見で同席した小沢は語気を強めた。

 「(進次郎と)同じ年の2人の話を選挙民のみなさんによく聞いて頂きたい」

 愛知県豊田市出身の「落下傘候補」。政治との唯一のかかわりと言えそうなのは「中卒でトヨタの下請け会社の部品を運ぶトラック運転手だった父が、政治談議好きだった」ことだけだ。それでも「いつか、父の話の中に登場したいと思った」という横粂は、中学時代から友人に「夢は政治家」と言い始める。

 その後、地元の進学校から東大へ。卒業後に出演した、若い男女が世界を旅しながら恋愛するフジテレビの番組「あいのり」で「将来は総理大臣に」と公言。「(選挙の洗礼という)生活の不安定さを補うため」という動機で司法試験を受け、弁護士になった。

    ◇

 横粂が「将来の夢」を語っていた中3の夏、同じ学年だった進次郎は横須賀市の新聞販売所でアルバイトをしていた。「この子に(社会を)勉強させたい」。それが親族の望みだった。

 40日近く連続して午前2時から始まる作業を遅刻も弱音もなく続けた進次郎。「将来はどうするの?」と尋ねる所長(66)に即答した。

 「お父さんを尊敬しているんです。お父さんのやってることが大好きなんです。だから、政治家になりたい」

 その後、県内の私立大を経て米国に留学。コロンビア大大学院(政治学)、有名シンクタンクを経て、純一郎の秘書となり、曽祖父、祖父、父の跡を継いで「4代目」に向けて名乗りをあげた。

 だが、テレビや週刊誌からインターネットに至るまで「世襲批判」が繰り広げられると、表の活動を限定。市議ら主催の集会などで進次郎は言った。

 「世襲はよくないかもしれないけれど、小泉進次郎は応援していこう――。そう思ってもらえるように努めたい」

 そんな進次郎の活動が変わり始めたのは、純一郎も民主党も支援した64歳の現職を33歳の新人が破った横須賀市長選の投開票から2日後の6月30日だった。

 「おはようございます。小泉進次郎です。いってらっしゃいませ」。京浜急行・横須賀中央駅前を行き交う通勤客に向かって声をからした。駅立ちは欠かせない日課となった。そして、7月12日の東京都議選での自民の大敗。

 「つい1カ月前までは圧勝と思っていたが、党の体たらくで、いまは6対4ぐらいまで追い上げられている。ここで負けたら、全国のどこで自民が勝てるのか」。支援する市議がこう口にすれば、後援会幹部も「小泉だからいい、という時代ではない」。

 横粂も勢いづいてきた。3連休の間の19日に横須賀市内で開いたミニ集会には36人が参加した。たった4人だった時もあることを考えれば大きな進歩だ――。1時間以上にわたる質疑の最後には、高齢の男性が訴えかけてもくれた。「若い政治家を育てるのは、われわれ有権者でしょう」

    ◇

 「もう少し経験を積んでから出た方がいい」という共産・伊東正子(68)の指摘をかき消すかのように、2人は時間をたがえて同じ横須賀中央駅頭で「第一声」をあげた。

 「次の世代に社会の問題を引き継ぎたくない。だから政権交代なのです。変えていきたい」(横粂)

 「自民か、民主か、じゃない。未来の世代に責任を持てる政治を実現できるのは誰なのかを選ぶ戦いなんです」(進次郎)

    ◇

◇神奈川11区

小泉進次郎28自新  〈元〉衆院議員秘書

横粂 勝仁27民新  弁護士

伊東 正子68共新  〈元〉小学校教諭

鶴川 晃久34諸新  幸福実現党役員

    ◇

 衆院が解散した21日夕、神奈川11区で民主と自民の新顔が同じ駅頭に立った。27歳と28歳。全国で唯一の20代同士の対決だ。公募に通った「落下傘」の弁護士と元首相の次男。いずれの訴えも「未来への責任」だ。神奈川17区では30代新人同士がまみえる。彼らを混迷する政治に飛び込ませたものは何か。両党の差異は、その選挙戦は――。「総選挙ルーキー」を追いかけながら政権選択を考える。(敬称略)

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