現在位置:
  1. 2009総選挙
  2. 特集
  3. 記事

《ルーキー:下》自民と民主、境目は

2009年7月26日

印刷印刷用画面を開く

写真公開討論会で立候補予定者の話に耳を傾ける有権者=23日夜、神奈川県秦野市平沢、越田省吾撮影

 「民主党がどう生活を守るのか、自民党と比べていただく。それに尽きます」

 神奈川11区で元首相小泉純一郎の次男、進次郎(28)を相手にする民主の「落下傘候補」横粂(よこくめ)勝仁(27)は23日の会見で「最も強調すること」を問われると明言した。

 しかし、2年前、弁護士になったばかりの横粂が最初に門をたたいたのは「自民」だった。政治を志し、主要政党のホームページを眺めていた時、生まれ育った愛知県で候補者を公募していたのが自民だったからだ。

 「自民党を変えていかなければいけない」「若い力を生かすべきだ」。県連幹部との面接で熱く訴えたが選に漏れる。半年後、政治に関心のある弁護士仲間と参院を見学。案内役だった民主の参院議員簗瀬進の「ふつうの人っぽさ」に好感を抱いて民主に近づく。父がトラック運転手だった横粂には「国民の生活が第一」という党のキャッチフレーズも響いた。簗瀬に「思い」を伝えると話は一気に進展、公認が内定した。

 「日本全体で見るなら、変える民主か、従来の自民か。同時に11区では、生まれも日々の活動も違う、横粂なのか小泉なのか、だ」

    ◇

 「いっそ、無所属のほうがよかったんじゃないか」

 自民への逆風を心配する進次郎の支援者は多い。続く言葉は「何党だって進次郎に入れるんだから」だ。

 だが、叔父で純一郎の秘書小泉正也は違う。「父親が自民総裁もやったし。(公認以外を)考えたことがない」。進次郎も同じだ。「逆風が吹き荒れてますが、未来に責任を果たせる政党はどこかと聞かれれば、それは自民党です。安全保障も環境政策も」と言い切る。

 11区が全国唯一の自民・民主の20代新顔対決なら、県西の17区は唯一の30代新顔対決。前衆院議長の河野洋平から後継指名された自民の牧島かれん(32)と松下政経塾OBの民主神山洋介(34)だ。

 今年2月、ここで異変が起きる。首相だった安倍晋三の元秘書官井上義行(46)が割って入ったのだ。「自民と民主は選挙のために欠点ばかりを言い合っている」と主張。無所属を掲げた。

 17区の中心地、小田原市出身。地元の高校を卒業後は旧国鉄で機関士。日大通信制で経済を学んで内閣府に入り、安倍に抜擢(ばってき)された。市内では「ノンキャリアでたたき上げた私が即戦力」と訴える井上のポスターが最も目につく。

    ◇

 現首相の麻生太郎が解散予告をした2日後の夜、「小田原アリーナ」であった立候補予定者による公開討論会。配られた牧島と神山の「訴え」は似通っていた。牧島が「官僚主導から政治主導へ」「地域医療・介護の充実」「子育て世代の支援」と書けば、神山は「天下り天国をストップ」「医師不足、産科医不足問題を最優先解消」「子ども手当創設」といった具合だ。

 「もっと早く解散すべきだったか」「郵政民営化は失敗か」。「○」「×」で答える九つの質問のうち、政治にかかわるすべての問いで牧島と神山の回答は重なった。

 最後の「自由発言」で井上が立ち上がって言った。

 「みなさん、どうでしたか。与党も野党もそんなに違っていない。結局は、党利党略でけんかをしているんです」(敬称略)

    ◇

 この連載は、川上裕央、岡田宙太、河野正樹、福井悠介、野村周が担当しました。

検索フォーム