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《ルポ決戦前夜:2》東京1区、都議選の衝撃

2009年8月10日

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写真地元の住宅街で支持を訴えて歩く海江田万里氏=6日午後、東京都新宿区、細川卓撮影表拡大  

■「生活の1票」怖い反動

 6日夕、東京都新宿区にある民主党の海江田万里(60)の事務所で、党のマニフェスト(政権公約)の説明会が開かれた。約60人の参加者からは厳しい指摘が相次いだ。

 「ガソリン税の暫定税率廃止と書いているが、環境面からも税収は重要だ」「GDP(国内総生産)を増やすのが重要なのに、その施策が高速道路無料化ぐらいしかない」

 7月27日のマニフェスト発表後、海江田には多くの意見が寄せられた。目玉の月額2万6千円の子ども手当には「配偶者控除の廃止は、たまらない」。インド洋での給油活動延長をめぐり、党幹部の発言が揺れると、「給油は続けるのか、続けないのか」。6日の説明会は、こうした不安を抑えることが目的だった。

 7月12日の東京都議選。民主党は初の第1党になった。この勢いで都内は総選挙でも圧勝――とのシナリオが党内では語られる。ところが、政権交代に現実味が帯びるにつれ、民主党への視線は厳しくなっているようにみえる。

 実際、朝日新聞の世論調査では、都議選直後に11ポイントリードしていた民主党と自民党の支持率が、8月初めには2ポイント差に。「都議選は与党におきゅうを据える1票だったが、今度は自分の生活にかかわる1票。投票する人の意識にハードルはあると思う」と海江田。「都議選ショック」からの揺り戻しが気になる。

 東京1区のライバル、自民党の与謝野馨(70)は経済財政相、財務相として麻生政権の景気対策の責任者だった。「今の日本には一度政権が代わらないと、どうしようもない問題がある。二人羽織のように官僚が政治家の振り付けをしている」。海江田にとって、「財務省言いなり」とみえる与謝野は、変えるべき官僚政治の象徴でもある。

■「政策愚直に」探る活路

 小選挙区制になって4回、与謝野と海江田は2勝2敗。住民の流動が激しく、無党派層の多い都市部では、「風」が選挙結果を大きく左右する。

 「アクセスの利かない方が増えた。我が選挙区の大変なところだ」。与謝野がこう語るように、オートロックの高層マンションでは、政策ビラの投げ込みができない。町内会単位で2〜3カ所のミニ集会を重ね、そこで地道に持論を説く。

 与謝野は、大幅な財政出動を伴う補正予算編成を主導したが、本来は財政再建論者。政府の「中期プログラム」で消費増税の道筋をつけた。民主党がマニフェストで掲げる政策も「奇想天外」と切り捨て、「民主党の政策を全部やると、(高福祉高負担の)スウェーデン型にしないといけない。消費税25%を覚悟でやるなら、一つの考え方だ」。財源論で民主党を挑発する。

 とはいえ、都議選の後遺症は引きずったままだ。都議選3日後の7月15日、与謝野は麻生首相に「都議選で非常に逆風が吹き、全国的に選挙の状況が厳しい」と訴えた。7月29日夜、新宿区内の寺院。与謝野は約60人の後援会関係者に、「私の力不足。大変申し訳ない」とわびた。同区では自民党の現職が落選。千代田区でも7選をめざした党都連幹事長が涙をのんだ。

 今月4日の記者会見。与謝野は、こう強調するしかなかった。

 「我々の政治性や政策を最後まで愚直に訴えていく。そこに活路を見いだしていくことでなければならない」=敬称略(園田耕司)

     ◇

東京1区(千代田、港、新宿区)

与謝野 馨 70自前

海江田 万里 60民元 〈国〉

冨田 直樹 33共新

田中 順子 47諸新

又吉 光雄 65諸新

マック赤坂 60諸新

(カッコ囲み政党は推薦)

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