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《ルポ決戦前夜:3》選挙協力・連立の方程式

2009年8月10日

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写真街頭演説会で有権者に手を振る社民党の辻元清美氏(左)と民主党の岡田克也幹事長=7月31日、大阪府高槻市、南部泰博撮影図拡大  

■野党共闘「にがりになる」

 7月31日午後。バスターミナルを歩道橋が囲む大阪府高槻市のJR高槻駅前は、千人を超す聴衆でごった返した。お目当ては、社民党の辻元清美(49)の応援に来た民主党幹事長、岡田克也だった。

 「民主、国民新との統一候補となったことを誇りに思う」と辻元が言えば、岡田は「比例区は、それぞれの立場で。しかし、小選挙区は辻元を大きく押し出して下さい」と訴えた。

 これまでの総選挙で野党間の選挙協力は限定的だった。それが今回は選挙後の連立を視野に、互いに推薦を出すなど各地で協力が具体化する。

 06年秋、辻元事務所の前に黒塗りの車がとまった。当時の民主党代表、小沢一郎による突然の訪問。「隣の大阪9区で衆院補選がある。民主党の応援をお願いしたい」。07年参院選で民主党が大勝すると、小沢の話は「大阪で応援する分、全国で力を貸して」と、より具体的になった。

 ただ、大阪10区の民主支持者は社民への選挙協力をすんなり受け入れられない。市議の一人は「大きな目標に向かう時」と話すが、今年5月、大阪城公園での連合メーデーであいさつする辻元には、かつての秘書給与事件にからめた痛烈なヤジが飛んだ。

 それでも辻元は言う。

 「大政党は固まりのない豆乳。そこに私らみたいな『にがり』が入って方向性が決まる。政策に違いはあるが、生活優先では一致している」

 野党共闘の成否は選挙戦を左右する。人込みに紛れて、岡田と辻元の演説を聞いていた自民党の松浪健太(37)は「岡田さんは社民党を意識して外交や教育の話はしなかった」と指摘。かつて辻元が自民、民主両党を「ライスカレーかカレーライスの違い」と揶揄(やゆ)したことを念頭に、こう皮肉った。「二大政党のどっちがおいしいカレーを提供するかの選択なのに、社民党はティラミスの話をしている」

     ◇

大阪10区(高槻市、三島郡)

松浪 健太 37自前 〈公〉

浅沼 和仁 48共新

辻元 清美 49社前 〈民〉〈国〉

筒井 宏志 54諸新

(カッコ囲み政党は推薦)

■自公に溝「ぼろ負け困る」

 公明党幹事長を8年、国土交通相を2年近く務めた冬柴鉄三(73)は、毎朝7時半から30分間、尼崎市の駅前に立つ。演説はせず、名前を連呼しながら、「行ってらっしゃい」と通勤客を見送ると、その後は企業・団体回りに。党の「66歳定年」の特例で出る今回、地元密着を押し出す。

 意識するのは、7月21日に兵庫8区からの立候補を表明した新党日本代表の田中康夫(53)だ。「おかしいことをみんなで変えるドリームを実現したい」。民主推薦の田中が下町の商店街などでこう訴える様子を、何台ものテレビカメラが追いかけている。

 今年6月、定数44の尼崎市議選で、公明党の候補9人が得票数の3位から11位に並んだ。しかも全員4千〜5千票台という結果。「常勝関西」を印象づけた。

 ただ、当選には票の上積みが欠かせない。頼みは自民党だが、皮肉なことに過去3回の自公協力の結果、自民党の足腰はすっかり衰えた。中選挙区時代、5千人余りいた尼崎市内の自民党員は300人程度に減少。市選出の自民県議も定数7で1人だけだ。

 「連立与党はあっても、連立野党という選択はない」。こんな声が公明党内から漏れる中、自民党も心穏やかではない。今年5月、比例近畿ブロックで自民党尼崎支部長の泉原保二(67)が繰り上げ当選し、比例名簿の上位登載を求めて党員集めを本格化。自民党支持団体の幹部は「総選挙後、野に下ったら公明は裏切らないとも限らない。応援する意味はあるのか」。これまで冬柴の選挙に動員していたが、今回は見送るという。

 自民党との連立10年で公明党は政権の「果実」を味わった。しかし、冬柴は総選挙後の自民党との関係を問われると、「まず自公で勝つ。(自民党には)ぼろ負けされては困る。過半数割ったりしたら……」。続く言葉はのみ込んだ。=敬称略(堀江政生)

     ◇

兵庫8区(尼崎市)

冬柴 鉄三 73公前 〈自〉〈改〉

庄本 悦子 54共新

市来 伴子 32社新

田中 康夫 53日新 〈民〉

角出 智一 43諸新

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