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《ルーキー:その後》膨らむ自信と焦り

2009年8月14日

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写真有権者らと握手をする立候補予定者=13日午後、神奈川県横須賀市、川村直子撮影

 全国で唯一、自民と民主の20代新顔が対決する神奈川11区、同じく30代新顔が激突する同17区。衆院の解散後に彼らの初選挙を連載で紹介してから20日余り、いよいよ公示日が迫ってきた。選挙ルーキーたちは、いかに変身したのか。その後を追った。

     ◇

 神奈川県横須賀市と三浦市にまたがる神奈川11区で、元首相小泉純一郎の次男進次郎(28)を相手にする民主の「落下傘候補」横粂(よこくめ)勝仁(27)の動きが一変したのは5日、小沢一郎が事務所に突然現れてからだった。

 「日に日に知名度を上げてきているが、まだまだ、だ」

 「やみくもに自転車で回っていると聞くが、きっちり辻立ちしろ。1日50回。勝算は十分にある」

 翌朝から自転車での「走り回り」に交差点での「立ち止まり演説」が加わった。言い付け通り、連日、50カ所以上で訴え、子育て、年金、雇用などに触れている。

 進次郎も負けていない。

 9日、日曜日の昼。緑のシャツでそろえた高校時代の同窓生らと京急線の駅をはしごし、各駅できっちり15分の演説。こうしたスケジュールをブログで公開すると、世襲批判の「ネタ」としてマスコミに追われる回数が減った。

 「具体策はないが、ルーキーにしては上々」(支援者)と言われた演説にも磨きがかかった。例えば環境問題。解散日には「きれいな環境を後世に」と言うだけだったのが、「走水海岸に行っても昔は砂浜が30メートルはあったのに、もう10メートルぐらいしかありません!」となった。

 解散から1週間後の夜。公開討論会で顔を合わせた二人の間に緊張が走った。決して上手と言えない演説から「頼りなさ」を指摘される横粂が、「恐縮なんですが」と前置きしながらも直に進次郎に質問をぶつけたのだ。

 「小泉改革は間違いだったと思わないか。お父さん、謝ってくれ、と考えないのか」

 「来ると思ってました」と受けた進次郎は余裕の面持ちで切り返した。「小泉改革への批判があるとすれば、時代に合う形に変えていけばいい」。進次郎は、前回選挙では医療費抑制などに異を唱えて純一郎の推薦を見送っていた三浦市の医師連盟からの推薦を取り付けた。

     ◇

 11区から西に50キロの17区の立候補予定者たちからも「必死さ」がにじみ出る。

 前衆院議長の河野洋平から後継指名された自民の牧島かれん(32)のライバル、民主の神山洋介(34)は8月に入ってからも、ひたすら辻立ちや支援者まわりを繰り返す。「派手な動きは必要ない。とにかく回るだけです」。7月中は、鳩山由紀夫ら幹部が姿を見せては人集めをしたが、以後、幹部は来ていない。

 その神山を悩ませているのは7月27日に党が発表したマニフェストだ。「あの項目は反対」「財源は?」。自分に関心のあるテーマを取り上げてはマニフェストを疑問視する支援者が急増したからだ。

 12日夜、小田原市内で開かれた会合では神山から切り出した。

 「メディア選挙。マニフェストは、メディア受けすることをクローズアップしている」「子ども手当1人月2万6千円。そんな風にキャッチフレーズだけ言って、選挙後に失望されたくない」

 「河野後援会」の支援を受ける牧島陣営の動きも7月末から慌ただしさを増した。

 まず、「河野後援会とは世代の違う女性が気軽に立ち寄れるように」(後援会)と開いたJR小田原駅近くのサロン「かれん’s ルーム」の衣替えだ。ベビーベッドなどが置かれている部屋の壁に、企業などの推薦状105枚を張り出し、天井近くには神棚を設置。出入りするのは、以前は顔を見せなかった河野の秘書や河野後援会の会員だ。

 その理由を河野の秘書だった小田原市議の相沢博(73)が解説する。「解散前後に『負けるかも』という危機感が広がり、後援会とルームの若者が別々に動くようなのどかな状況ではなくなった」

 13日、ルームの玄関脇には「選挙事務所」と書かれた約3メートルの看板が運びこまれた。覆っている幕を外すのは4日後だ。=敬称略(引き続き、川上裕央、岡田宙太、福井悠介、河野正樹、野村周が担当しました)

◇神奈川11区

小泉進次郎28自新  〈元〉衆院議員秘書

横粂 勝仁27民新  弁護士

伊東 正子68共新  〈元〉小学校教諭

鶴川 晃久34諸新  幸福実現党役員

◇神奈川17区

牧島かれん32自新  早大客員講師

神山 洋介34民新  〈元〉松下政経塾生

中野 淳子48諸新  幸福の科学職員

井上 義行46無新  〈元〉首相秘書官

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