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《ルポ決戦前夜:8》埋没危機、野党の意地

2009年8月15日

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■必勝区、まず党名アピール

 「ねじれ国会」の場では民主党と共闘しても、選挙となれば別だ。政権交代を求める民主党への追い風は、共産、社民両党にとっては逆風になりかねないからだ。

 「民主党の政権が生まれる可能性は大。その時、共産党がどれだけ伸びているかが政治を左右する」。5日朝、JR京都駅の近くで、共産党国対委員長の穀田恵二(62)は行き交う通勤客らにこう語りかけた。

 「蜷川革新府政」を支えた伝統もあり、京都で共産党は強い。現在、京都市議会では第2会派。96年には、当時国対委員長だった寺前巌が京都3区で当選。今回も、穀田が4回続けて復活当選してきた京都1区を全国唯一の「必勝区」と位置づける。

 しかし、総選挙の前哨戦となった7月の東京都議選で、民主党が初の第1党に躍進したのとは対照的に、共産党は議席を13から8に減らした。この時期を境に、穀田の訴えからは、民主党批判が影を潜めた。共産党の府議の1人は「政権選択論には勝てない。民主党をたたいても票は出ない」と明かす。

 実際、都議選4日後の7月16日、共産党は総選挙に向けた「基本的立場」を発表。そこでは「民主党中心の政権が成立する可能性が大きい」と指摘したうえで、「独自の建設的野党としての立場を堅持する」と打ち出した。

 最近の穀田は、「軍事費を削り、大企業、富裕層を優遇する減税をやめるべきだ」と民主党の財界接近を牽制(けんせい)する一方、民主党などと共同提出した後期高齢者医療制度廃止法案の参院可決を誇り、「共産党を伸ばし、社会保障を充実した制度にしよう」と訴える。

 共産党は、小選挙区に立てる候補を前回より120人以上減らし、比例票の獲得に力を注ぐ。「必勝区」でも「比例は共産党、1区は穀田恵二に」。まずは党名をアピールしている穀田はこう言う。

 「政権交代は期待するが、民主党には不安も感じる層に訴えていきたい」

     ◇

京都1区(京都市北、上京、中京区など)

伊吹 文明 71自前 〈公〉

平  智之 50民新 〈国〉

穀田 恵二 62共前

種村由美子 53諸新

(カッコ囲み政党は推薦)

■違い強調「時間足りない」

 穀田と同様、野党共闘の当事者だった社民党国対委員長の日森文尋(60)。前回、比例北関東ブロックの単独候補として議席を得たが、今回は埼玉13区に重複立候補する。

 「選挙区で有効投票総数の10%を超える得票」。これが目標の最低ラインだ。自民前職の土屋品子(57)や民主新顔の森岡洋一郎(34)らと争う選挙区で勝ち抜くのは容易ではない。選挙区で負けても比例区での復活当選に必要な得票を――というわけだ。

 3日早朝、日森は東武春日部駅前に立ち、海上自衛隊によるインド洋での給油活動について、「政権交代すれば、即時撤収」と訴えた。さらに「(民主党代表の)鳩山さんは日米同盟を軸に考えるからふらつく。軸は憲法9条」。民主党批判にも踏み込んだ。

 社民党は、民主党と総選挙後の連立をにらんだ協議を進める。民主党が擁立せず、社民党を推薦する選挙区も全国で12にのぼる。街頭で日森も「自公政権をこのまま続けるのか、民主党を中心とした新しい政治を作るのか。それが8月30日だ」と繰り返す。

 一方、従来の支持者をつなぎとめ、比例区での得票を増やすには、党の「一丁目一番地」である平和や護憲を訴え、外交・安全保障政策で民主党との違いをアピールするしかない。政権交代と党の独自性。いかに両立させていくか。答えは簡単ではない。

 自民、民主の2大政党による政権選択選挙に埋没することへの危機感が募る中、日森はこう漏らした。

 「なぜ社民党なのか。1人10分から15分かけて説明すれば、やっと考えを理解してくれる。でも時間が足りない」=敬称略、おわり(関根慎一)

     ◇

埼玉13区(春日部市の一部、久喜市など)

土屋 品子 57自前

森岡洋一郎 34民新

日森 文尋 60社前

鈴木こず恵 40諸新

武山百合子 61無元

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