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《党首がゆく:共産党・志位和夫委員長》「対米」に変化 柔軟路線さらに

2009年8月22日

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写真党のシンボルカラーを背景にCM撮影に臨む=水野義則撮影図

 オバマ米大統領は世界で引っ張りだこだが、いま日本の政界で最も頻繁にその名を口にしている一人が志位だろう。街頭演説で、政見放送で、オバマの名が出る。共産党が「米帝国主義」を目の敵にしてきたことを思えば、随分な変わりようではある。

 オバマが「核なき世界」を掲げた4月のプラハ演説は確かに画期的だった。広島と長崎に原爆を落とした国の大統領が、それゆえの「道義的責任」に触れて核廃絶を訴えるなど、以前なら考えられなかったことだ。志位が感銘を受けたというのも無理はない。

 訳文を読み、動画サイトで演説を見た志位は夜遅く自宅で書簡をしたため、米大使館に自ら届けた。「心から歓迎する」と書いた書簡が異例なら、米政府から「あなたの情熱をうれしく思う」と返書が届いたのも珍しい。

 「アメリカも変化しつつあるではありませんか」

 志位は街頭演説でそう語っているが、驚くのはむしろ共産党の変化の方である。たとえ米国でも「前向きな変化は後押しする」と志位は言う。演説では日本の「大企業優遇税制」を批判して米国の例を引き、皮肉まじりに「良いことはアメリカに見習ったらどうか」とも語っている。

 核廃絶という目標に絞っての米国評価とはいえ、志位の動きは十年来の党の柔軟路線をさらに一歩進めるものには違いない。経済危機で米主導のグローバル化が厳しく再考を求められるようになるなか、かねて「ルールなき資本主義」批判をしてきた志位が好機と見るのは当然だろう。

 「CGJ」の3文字がネット上に飛び交い始めたのは昨春。志位・グッド・ジョブ――やるね志位さん、の意だ。きっかけは派遣労働者の雇い止め問題を追及した志位の国会質問で、動画サイトで見た若者らが次々と書き込んだ。

 志位は勢いに乗る。リーマン・ショックで日本でも非正規従業員が解雇され始めると、撤回を求めて日本経団連と直接交渉。党本部にトヨタ自動車幹部を呼んで「労働者の生活より大株主への配当を優先させるのは資本主義の堕落ではないか」とただした。総選挙でも「ルールある経済社会」を強調する。

 若き党書記局長として一躍知られた志位だが、党委員長になって来年で10年、自公政権とほぼ重なる年月である。それだけに、今度こそ「国民の手で終わらせる」という口調には思いがこもる。

 党名への愛着は変わらない。民主党とも是々非々の立場を保ちながら、「建設的野党」でいずれの時を期す。=敬称略(磯貝秀俊)

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