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《地殻変動:26》改革語らぬ「4年前の刺客」

2009年8月25日

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 4年前とは何もかも変わった。

 23日夜、北海道岩見沢市。自民前職の飯島夕雁(ゆかり)氏(45)はJR岩見沢駅に隣接する施設で開いた個人演説会で「民主党が掲げる日米FTAは絶対にいけない」「北海道に公共事業はまだまだ必要です」と語りかけた。イスは100席。JAや商工会、建設業協会の70人余が静かに耳を傾けた。

 東京都出身。05年衆院選で郵政民営化法案に反対した山下貴史氏(56)の「刺客」として北海道10区に送り込まれた。「小泉改革」を訴え、小泉首相が応援に駆けつけたときには、岩見沢駅前の広場を7千人が埋めた。

 民主の小平忠正氏(67)が当選、飯島氏は6万2100票で3番手だったが、比例名簿1位で復活当選した。

 それから4年間、飯島氏は留萌、空知両支庁にまたがる選挙区内を走り回った。農家は疲弊し、工場撤退が相次いで建設業者の倒産が増えた。夕張市など財政危機の自治体も抱える。深い傷を目の当たりにし、「改革」を口にすることはほとんどなくなった。

 この間、落選した山下氏は深川市長に転身し、今回の選挙は小平氏との事実上の一騎打ちとなった。JAや建設業界など、前回は山下氏を支えた自民支持団体も、「地域重視」となった飯島氏支持に一本化されている。

 解散後、小泉氏の事務所から「応援に行く」と連絡があった時、飯島氏の陣営は困惑した。「票が減る」。小泉氏側の都合でキャンセルになり、前回から引き続き選対本部長を務める釣部(つるべ)勲道議(64)は「正直、ほっとした」。

 とはいえ、支持団体の動きは鈍い。

 昨年秋、山下氏の連合後援会長だった神清(じん・きよし)・前たきかわ農協組合長(75)宅を飯島氏が訪れ、「応援をお願いしたい」と頭を下げたが、神氏は「いや、まだちょっと」と言葉を濁した。「地方を疲弊させた構造改革をどこまで見直す覚悟なのか、はっきりしないから」

 一方で、「改革」を支持した人たちも不満を募らせる。ある町議(55)は前回、「自民党の古い体質を改革する」という主張に共感し、ポスター張りや集会の設営に動き回った。この間、国政の状況をまじめに報告する姿勢も評価していた。「しがらみのない落下傘だからこそできる政治活動がある。改革者であり続けて欲しかったが……」

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