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《地殻変動:29》新政権へ 動き始めた官僚

2009年8月28日

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 「行政の立場は、総理大臣、あるいはお仕えする大臣を適切に補佐すること。予算の年内編成に向けて作業を進めていくことにつきる」

 27日、財務省の丹呉泰健事務次官(58)は定例記者会見で話した。記者たちから民主党政権が誕生した場合の対応を問われるたび、判で押したように同じ言葉を繰り返している。

 ただ、水面下では、すでに新政権を視野に入れて動いているようだ。各省庁が財務省に提出する10年度予算の概算要求の締め切りは31日。9月からは財務省がその査定に入る。民主党の意向を探らないわけにはいかない。

 旧大蔵省OBで、民主党の財政通、藤井裕久・最高顧問(77)は最近、財務省幹部の訪問を受けたという。

 関係者によると、こんなやりとりがあった。

 幹部「(概算要求の手続きを)進めていいでしょうか」

 藤井氏「進めてもいいけど、全部崩すぞ」

 幹部「分かっております」「(制度的に決まっている)義務的経費だけでも進めていいでしょうか」

 藤井氏「カットさせてもらうかもしれんぞ」

 幹部「分かっております」

 民主党は、概算要求を白紙に戻して組み立て直させる意向だ。要求を出す省庁も、意識しないわけにはいかない。

 国土交通省は民主党が住宅政策で「リフォーム重視」を打ち出したことに着目し、中古住宅の売買などを後押しする保険制度の新設資金を100億円超要求に盛り込む考えだ。

 もっとも、国交省や農林水産省では、予算の組み替えや、公共事業の大幅削減など政策の転換の直撃を受けることが確実視される。幹部らは「むなしいけれど、役所としては従来通り要求するしかない」「淡々とやるしかない」と口をそろえる。身を縮めるかのように待ちの姿勢だ。

 一方、民主党の政策と歩調をあわせやすい環境省は、再生可能エネルギーを普及させる新規事業などを次々と盛り込んだ。南川秀樹官房長(59)は「環境のために信じるところをまとめた。自信をもって折衝したい」と語る。文部科学省も、09年度予算では1500人増を求め、800人純増で決着した教職員の定数について、10年度分は3倍以上の5500人を要求する構えだ。

 官僚たちの「盛夏」は選挙後の9月から。これまで水面下に隠れていた動きが徐々に姿を見せ始めている。

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