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〈宰相の郷から:下〉自民競い合い 力の源

2010年5月25日

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写真町長室に掲げられている岸、佐藤元首相の写真。最初は2人がそっぽを向く形で掲げられていたが、後に改められたという=田布施町役場

 田布施町役場の町長室には町長の席を見守るように、岸信介、佐藤栄作の両元首相の写真が並んで飾られている。「歴代町長ではなく、元首相2人の写真が町長室に飾られている町は、全国でもここだけだろう」。吹田あきら(あきらはりっしんべんに晃)(83)は、自分が町長時代に飾ったと認め、そう言う。

 中選挙区の衆院選旧山口2区で、吹田と栄作の次男、佐藤信二(78)が相まみえたのは1979〜93年の計6回。町内では吹田が自民党を離党した93年を含め、6千〜7千票台を2人で確保してきた。岸、佐藤の両首相経験者の得票計とほぼ同水準だ。

 小選挙区制が導入された96年、自民では佐藤が山口2区に残り、当選した。しかし、2000年に初めて立候補した民主・平岡秀夫(56)に議席を奪われ、03年も小選挙区では落選。08年補欠選挙では自民の山本繁太郎(61)が初めて町内で平岡に逆転を許し、選挙区全体でも敗れた。昨年の総選挙では、町内では山本が雪辱したものの、自民の議席奪還はならなかった。

 「小選挙区制が自民党を衰退させた」と、吹田は断言する。「中選挙区は保守同士の票の取り合い。岸さんと佐藤(栄作)さん、私と信二さんのように、自民が切磋琢磨(せっさたくま)し、票を散らさないでいられた」という。自民の候補同士の争いの激しさに、「私など、自民党よりかえって社会党の候補者と仲がよかったぐらいだ」とも。ところが、小選挙区になると、自民からは一人しか出られない。「その一人を嫌う支持層は無党派層になってしまい、ときに民主に流れる」と嘆く。

 昨年の総選挙。「小泉政権が作った後期高齢者医療制度で、毎年50万円も保険料を払って、医療費は3割負担になった。民主党は(制度を)やめると言っているし、いっぺんやらせてみたらどうかと思う」。吹田は、自分を長年支持してくれた町内の高齢者から聞かされ、驚いた。「スキャンダルも相次ぎ、長期政権の自民党は飽きられた」

 岸、佐藤という2人の宰相、その後継者である吹田、佐藤信二ら。田布施町はずっと、太いつながりが続いてきた。夏の参院選山口選挙区で再選をめざす参院議員の岸信夫は、今も町内の岸邸に住む。現町長の長信正治(63)は「陳情があれば、信夫先生が帰っているときに役場から歩いて行けばよかったので、東京に出張する必要はなかった」という。だが、政権交代で自民党は野党に転落。「岸さん、佐藤さんの頃に作った鉄筋校舎は耐震化が、道路網も改良が必要。来年度の着手を予定している大規模な圃場(ほじょう)整備の計画もある。今後どうなるのか」と不安を隠さない。

 参院選山口選挙区では、社会党が圧勝した1989年と近隣の市町出身の無所属候補が出た95、98年を除き、町内の得票は自民が圧勝を続けている。岸信夫も2004年、5189票を得て民主候補らを大差で退けて初当選した。

 信夫は3月から、県議の吉井利行らとともに町内でミニ集会を開き、引き締めに躍起だ。新たに作られた町の後援会長、好川勝久(80)は「歴史を教えていないのか、町内でも若い世代は佐藤先生、岸先生といっても知らない人が多い」と危機感を抱く。

     ◇

 参院選が近づく。山口選挙区では、民主党が18日、俳優の原田大二郎の擁立を発表。共産党からは木佐木大助が立つ予定だ。宰相たちが屋台骨を支えた自民党は野党として選挙戦を戦う。「宰相の郷」の有権者は、どんな判断を示すのだろうか。(敬称略)


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主な政治日程

6/16(水) 通常国会閉会
6/24(木) 参院選公示
7/11(日) 参院選投開票

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