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国際資源循環 レアメタル回収をアジアで

小島道一(こじま・みちかず)ジェトロ・アジア経済研究所主任研究員(環境・資源経済学)

2010年11月23日

 中国のレアアース(希土類)の輸出抑制で、世界は供給源を多様化してリスクを分散する重要性を再認識した。ここでは、資源確保のもう一つの道である、使用済み製品からレアメタル(希少金属)を回収するアジアのネットワークづくりを考える。

 日本はすでに、テレビなどの大型家電やパソコンのリサイクルの仕組みを構築した。さらに、デジカメなどの小型家電の回収実験が始まっている。さまざまな金属が回収されているが、ネオジム磁石スクラップなど、まだ回収技術が確立していないものもある。

 他のアジア諸国も、家電などのリサイクルを進めている。2000年前後に韓国と台湾で、家電や自動車のリサイクル制度ができた。中国は11年1月から大型家電やパソコンを対象として家電リサイクル法が施行される。タイ、ベトナム、マレーシアなどの東南アジア諸国も、制度の構築に向けた検討が始まっている。香港では、携帯電話の回収プログラムが始まっている。

 日本では、銅や亜鉛、鉛などを生産してきた非鉄金属製錬業は、コストが高い鉱石からの金属製錬を減らしてきた。しかし、廃棄製品からの金属回収ではアジアで抜群の競争力があり、貴金属スクラップの輸入量は他のアジア諸国と比べても多い。韓国の代表的な非鉄金属製錬企業でも8種類ほどの金属しか回収できないのに対して、日本の代表的な企業は20種近くの金属を回収する能力を持っている。香港の携帯電話も日本で金属回収されている。

 中国や東南アジアの問題は、非鉄金属製錬業が鉱石からの金属採取に力を注いでおり、スクラップからの金属類回収に取り組んでいないことである。金や銀など、高価で回収しやすい金属は回収しているが、資源回収効率は低く、多くのレアメタルが取り残されたままになっている。

 鉱石からの金属の採取は森林を破壊し、有害物質を出すなど環境負荷が高く、中国のレアアースの採掘・製錬過程でも、廃液などの処理が不適切であるといわれている。リサイクルによるレアメタルの回収利用は環境負荷を低減し、資源の利用効率を高めることにつながる。

 つまり、日本はアジアからレアメタル含有スクラップを輸入し、金属回収を行う国際的な資源循環網を構築することが、環境面でも資源安全保障面でも重要である。

 そのために日本の政府・企業は、これまで回収できていない金属類の回収技術を確立するとともに、アジア各国でのリサイクル制度の構築に協力し、使用済み製品の解体段階での技術協力や投資を進めていくことが必要である。

 欧州は域内で資源回収を効率的に行う取り組みで先んじている。アジアでも、有害廃棄物の越境移動を制限するバーゼル条約上の手続きの簡素化などの貿易障壁の低減や、各国の強みを生かして、経済的・環境的に持続可能な資源循環の仕組みづくりに取り組むべきである。