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GDP3位の日本 攻勢かけないと転落一途

畠山 襄(はたけやま・のぼる) 国際経済交流財団会長

2011年1月26日

 昨年、日本は1968年から維持してきた世界第2の経済大国の座を中国に明け渡した。具体的には2010年の猝礁楾馥眩軅源此複韮庁弌吠謄疋覺校山朖瓠憤焚蔀韻法孱韮庁弌廖砲埜て、中国が日本を上回るだろう、ということだ。この問題の今後の展望と対策について私見を述べたい。

 まず展望だが、3位の日本について論ずるより前に世間の関心は1位、2位の方にいく。中国が米国を抜くことがあるとすればいつごろか、が第1問であり、中国が1位になるとして、それ以降もあの国の一党独裁は続くのか、が第2問であろう。

 まず、米中GDPの今後の伸び率は過去の伸び率と同じと仮定する。「過去の伸び率」としては、世界が経済危機に陥った07年以降の伸び率は異常値と見て排除し、06年までの5年間の平均(年間米国5・4%、中国15・4%)を取る。これを09年の実績のGDPに乗じていくと、中国が米国を上回るのは21年となる。これは一般的な予想よりかなり早いが、元切り上げや中国の物価上昇加速などの可能性を考えると、あり得ない話でもなさそうだ。

 そのときも中国は一党独裁であろうか。だとすると、世界経済1位が共産党主導市場経済という点で、資本主義のあり方をめぐる議論が盛んになろう。特に経済危機対策で米GM株の国有化など、企業経営に政府が関与したケースが多かっただけに、国家資本主義に関する議論が深まろう。

 次に本題の日本だが、日本は第3位の地位を今後、確保できるだろうか。結論から先に言えば、油断していると4位以下に早晩落ちてしまう。

 09年のGDPの4位はドイツだが、前述の5年間の成長率は、ドイツの9・1%に対し、日本はわずか1・3%だった。これにはこの間の異常なユーロ高が影響しているので、現地通貨建てで予測する方法もあるが、その場合も通貨価値の変動率の予測が必要なため、結局、恣意的要素が入る。そこで米ドル建てGDPの過去の伸び率で延ばすと、ドイツが日本を追い抜くのは15年、他の各国もそれぞれ同様に計算すると、ロシアとフランスが翌16年、ブラジル、スペイン、英国、イタリアが19年、トルコが21年に日本を追い抜く。これは、一計算例でしかないが、10年後には3位はおろかベスト10にも日本は入れない可能性もあるのだ(22年には豪、印、加が抜く)。

 これを防ぐには日本経済全体の生産性の向上が不可欠である。名目GDP米ドル換算額は人口×1人当たり実質GDP(生産性)×物価×対ドルレートだが、現実には日本の人口は減り、物価も上がらないから結局、技術開発促進、環太平洋経済連携協定(TPP)を含む大型FTAの締結を中心とする農畜産業の改革と開放など生産性の向上が対策の基本だ。

 今後は成長でなく成熟だ、というのも一面の真実である。同時に3位転落の警鐘を無にせず、これを機に生産性向上に向けた反転攻勢を開始すべきだ。