現在位置:
朝日新聞社インフォメーション >
AAN >
AAN発
朝日新聞アジアネットワーク

AAN発 朝日アジアフェローのコラムやシンポジウムの詳報バックナンバー>>

中国の北朝鮮政策 安定化へ開放路線促す

朱 建栄(しゅけんえい)=東洋学園大教授(中国政治外交)

2012年10月27日

 北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記が昨年12月に死去してから間もなく1年になる。中国は金正恩(キムジョンウン)・第1書記の後継体制を全面的に支援し、中国が望む方向へ導く積極外交に乗り出したようだ。

 北朝鮮の経済政策を取り仕切る張成沢(チャンソンテク)・朝鮮労働党行政部長が、8月に北京で中国首脳と会談。北朝鮮北東部の羅先経済貿易地帯(経済特区)と北西部の黄金坪島を共同開発することで合意した。これまでのような地方レベルではなく、中朝の中央政府が動き出した本格的な協力関係だ。

 私は9月、羅先経済特区を視察した。豆満江沿いの中朝国境の町から中国の支援でできた道路を使い、1時間ほどで羅先に着く。中国は30年ほど前、深xV靴覆匹侶从册旦茲鯔無から離れた沿海部につくった。首都に近いと政治に常に見張られ、大胆な経済改革ができない。羅先もまさに、平壌から離れた場所にあるのだった。/p>

 羅先では、中国の業者が開発したマンション5棟が目についた。地方政府の幹部や対中貿易でお金を持っている人たちに人気で、完売したという。住宅は国家が提供するのが原則である北朝鮮で、人々が住宅を買い、当局もそれを奨励しているのに驚いた。特区では中国人民元が通用する。

 北朝鮮の地方政府では、今年に入って30代から40代の幹部の登用が続く。中央政府は、外資導入のために税法を学ばせようと、多くの幹部を中国の大学に派遣しているそうだ。

 中国と北朝鮮は、朝鮮戦争をともに戦った血と血で結ばれた関係だ。しかしそうした意識は過去のものとなりつつあり、最近は北朝鮮への支援は無駄だという声まであった。北朝鮮の核実験もあり、中国は北朝鮮をどう位置づけるか戸惑っていた。中国の関係筋によると、金総書記は晩年、中国を立て続けに訪問、息子の後継体制への支援を強く要請したという。

 中国にとって、隣国が友好的であることは大きな意味がある。北朝鮮に不測の事態が起きれば、米国が介入し、米軍が中国国境付近に配備される恐れがあるからだ。これに対抗して中国が兵力を張り付ければ、大きな負担となり、経済発展に悪影響が及ぶ。万一、北朝鮮が崩壊すれば、中国国内の朝鮮族の動きも不安要因となる。

 経済が発展し国民生活が向上すれば、北朝鮮は安定する。中国式の改革開放路線を受け入れるよう、北朝鮮を積極的に導くしかない。こうした見方が、中国の当局者や研究者の間で急速に広がっている。