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地域社会の生存戦略(4) 21世紀文化を志向して

金 星光(ジン・シンガン)/延辺日報記者(現経済部長)、前AAN客員研究員(中国)

2004年9月28日

 2月21日夜、岡山県岡山市の西大寺周辺は人波で埋まっていた。西大寺観音院内で県の民俗文化祭である西大寺「会陽(えよう)」行事が行われる日だったのだ。

 「別名、裸祭とも言います。500年の歴史がある祭であり、毎年2月第3週目の土曜日の夜中に行われます。観音院仏堂前に置かれる2本の宝木(しんぎ)を手に入れるため、裸の男たちが押し合う快調な祭で、備前平野に春到来を告げる行事として有名です」

 案内役の岡山県政府広報課員がこう紹介した。

 夜7時20分ごろに、まず少年裸祭が始まった。前を隠した少年たちが寒さを耐えながら列を作り、ワッショワッショの掛け声に合わせて場内に入る。続いて筆舌に尽くしがたい宝木争奪戦が始まった。その時、吉井川の川辺で会陽冬花火が始まった。宝木争奪戦は深夜12時まで続いた。数千人の青年たちが仏堂の前で2本の宝木を奪おうと押し合い、最後に2人の青年が宝木を手に入れて「福男」になった。

 「世の中にはいろんな面白い行事があるものだね」

 あまりにも特異な行事だったので、私はしばらく訳分からなく呆然としていた。隣の見物人の話を聞いてやっと少しずつ分かってきた。話によると、昔は一年の幸福が得られるこの宝木が個人所有になっていたが、最近はよくお金持ちの企業が大枚を払ってその宝木を買ったりもするそうだ。

 わたしたちは数千人の青年と少年たちの熱気、参加意識に感嘆した。そして深夜まで行事を楽しみながら見守っている市民たちにも感動した。このような市民がいるからこそ、岡山市は萩原誠司市長が都市建設の明るい未来を展望できるのではないだろうか?

 「市民たちが自分の住んでいる町を心から愛していることが都市建設の原点。人情あふれる市民気質、誇れる伝統と自然、交通の中心地、福祉と健康の産業などいろんな優越な特性を積極的に活用して、21世紀の堅実な現代都市としての地位を確保するために『国際都市・福祉都市』建設に一生懸命努力しています。さらに、外国からの訪問客と岡山市定住の外国人がより増えていくような一層魅力的な都市建設に推進しています」

 古くから繁栄してきた歴史的都市、県の政治・行政の中心的役割を担当する都市としての岡山市は、国と県との連帯、協力の下に政治・経済・教育・福祉・文化などの機能全般がバランスよく配慮された中枢拠点都市を志向している。と同時に、歴史文化遺産に恵まれて発展してきた岡山市を世界に紹介できるような国際文化活動の振興にも力を尽くしていた。

 「市内の各中心を活性化するためには、若者から高齢者まであらゆる階層の定住人口と流入人口を増やす必要がある」という。住みやすい都心環境、活力を創出するため、特に若者たちが一緒に集まって楽しむことができる場所の拡大や産業の誘致を重視する。交通体系を総合的に再検討とともに、都心の空地、活用度の低い土地の活用対策を検討するなど、新しい広域的都市機能の集積を目指している。

 21世紀の岡山市を担うのは子供たち。体と心が健康に育つような教育が基本だ。教育委員会と連帯して「生活力」を育てる教育を重視している。教育環境の整備はもちろん、子供たちの間に、社会生活に積極的に参加する心構えを培う教育を推進していた。

 多様な店舗が入居する地上21階のNTTクレド岡山商業施設。毎週金、土、日曜日にはコメディ専門の公演会を開いて「笑い」を通じた地域活性化をめざし、月曜日から木曜日までは演芸・音楽・公演及び書道・絵画展示など市民活動の発表場として活用している三丁目劇場。南北2.4キロメートルにわたる都心の中の緑地帯―西川緑土公園と枝川緑土公園。座席数2001席と素晴しい音響特性を誇るコンサートホールとして幅広く活用されている岡山シンフォニーホール。いつも軽い気持ちで訪ねることができる生涯学習の拠点施設として市内各中学校区に整備されている公民館。各種蔵書が約100万冊もある市内6カ所の市立図書館。一貫して推進している保健福祉事業と関連施設などなど…

 まさに岡山市は、21世紀の堅実な現代都市としての地位を確保するためにがんばっている。