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『世界のともだち 韓国』裵昭 著(偕成社1800円)

在日韓国人写真家がとらえた隣国の子供たちの生活

2014年04月21日

裵昭さん

 在日2世の写真家、裵昭(ペソ)さんが、韓国の子供たちの元気な姿を収めた児童書を出版した。「隣国の小学生のふだんの生活を日本にいる人たちにも知ってもらいたい。大人も楽しめます」という。

 日本と似ているようで、ちょっと異なる子供たちの生活。明るく楽しい笑顔があふれている。(朝日新聞記者 桜井泉)

 主人公はソウルのワールドカップ競技場の近くのアパートに住む小学5年生のチェ・ピョンジュン君。家族は、母方のおじいさん、大手のクレジット会社に勤めるお父さん、ネット書店の会社で働くお母さん、二人の妹だ。

 撮影は2012年のクリスマスから始まり翌年の旧正月、3月の新学期、初夏と4回にわたった。裵さんは、「時間、労力、お金の一つでも欠けるといい作品は完成しません」と言う。

 大みそかの様子から始まる。ピョンジュンは、おじいさんと囲碁を楽しむ。

 そしてお正月。韓国では、例年、1月末から2月はじめの旧正月を盛大に祝う。美しい伝統衣装である韓服を着て親戚一同が集まる。子供たちは、おじいさんからお年玉をもらい、うれしそう。ほかにも友達との通学風景や授業、放課後の習い事、市場での買い物など、子供たちの日常がいっぱい詰まっている。

「子供の頃にかえったよう」

 50代半ばの裵さんは、ピョンジュンと一緒に、小学校で一日を過ごし、給食も食べた。「こんな楽しい取材は、久しぶり。子供の頃にかえったよう」と顔をほころばせる。担任の先生も、「本がきっかけになって、外国の子供たちどうしが友達になれれば」とよく協力してくれた。

 韓国の受験競争は、日本よりも厳しいかもしれない。幼い頃から子供たちは、毎日のように習い事をしている。ピョンジュンもピアノ、サッカー、囲碁、コンピューターのロボットつくりなどを学ぶ。

 でも、まだ5年生だからそれほど、厳しい勉強の競争はないかもしれない。担任の先生が「やがて、この子たちも血の涙を流しながら受験勉強をするようになるんです」と話した言葉が印象的だったという。

「自分の学校に通える、うらやましい」

おじいさんからお年玉をもらうピョンジュン

 裵さんは、かつて炭鉱がたくさんあった福岡県田川市で生まれた。民族学校に行ってみたがなじめずに、ずっと日本の学校に通った。

 「ピョンジュンは、あたりまえのように自分の国の学校に通える。それがうらやましかった」

 「世界のともだち」シリーズは、2016年までに世界の36カ国をカバーする予定。担当編集者の小宮山いつかさんは、「ひとりの子供の日常を徹底的に取材します。それは、将来、友達になるかもしれない誰かの毎日なのです。韓国の生活は、日本と似ているところ、違うところがいろいろと見つかって、おもしろいのではないでしょうか」と話している。

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 裵昭 1956年生まれ。朝日新聞や週刊誌などに、日本の国際化をテーマにした作品を発表。「鎖国ニッポンが多民族国家になる日」で第28回平凡社準太陽賞を受賞。最近は、黒砂糖や塩をつくる職人らを追っている。