朝日賞 - The Asahi Prize -

2012(平成24)年度 朝日賞

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贈呈式、7氏を顕彰
朝日賞・大佛賞・大佛論壇賞・朝日スポーツ賞
2012年度 朝日賞
4氏スピーチ



贈呈式、7氏を顕彰
朝日賞・大佛賞・大佛論壇賞・朝日スポーツ賞


(前列左から)朝日賞の松波弘之さん、唐十郎さん、神谷信夫さん、沈建仁さん、(後列左から)大佛次郎賞の水村美苗さん、大佛次郎論壇賞の大島堅一さん、朝日スポーツ賞の吉田沙保里さん

 学術や芸術などで傑出した業績をあげた個人や団体に贈る2012年度朝日賞、優れた散文作品をたたえる第39回大佛(おさらぎ)次郎賞、政治・経済・社会などについての秀でた論考への第12回大佛次郎論壇賞、スポーツ分野で優れた成果をあげた個人や団体を表彰する12年度朝日スポーツ賞の合同贈呈式が31日、東京・日比谷の帝国ホテルで開かれた。

 朝日賞を受けた4人に正賞のブロンズ像と副賞500万円、大佛次郎賞と大佛次郎論壇賞の2人に賞牌(しょうはい)と200万円、朝日スポーツ賞のレスリング・吉田沙保里選手にはレリーフと200万円がそれぞれ贈られた。

 朝日賞の劇作家、唐十郎さんは息子の俳優、大鶴義丹さんと登壇。唐さんは昨春、転倒して頭を打ち、半年の入院生活を送っていた。大鶴さんが「現在は回復して普通の生活に戻りつつありますが、声が出にくいため、今朝本人が書いた原稿を代読します」と話し、「役者としてテントの舞台に再び立てるよう毎日を努めています」と読み上げた。

 吉田選手は「昨年のロンドン五輪、世界選手権では応援ありがとうございました。応援のおかげで、今、霊長類最強の女になりました」とあいさつして、会場を盛り上げた。

(2013年2月1日朝日新聞朝刊より)

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朝日賞4氏のスピーチ

◆テントで再び客と交流を 劇作家・唐十郎さん

唐さん(中央)と、スピーチを代読した息子で俳優の大鶴義丹さん(左)

唐さん(中央)と、スピーチを代読した息子で俳優の大鶴義丹さん(左)

 けがからの回復の見通しがやっと立ったところで、とても大きな光を頂きました。私は東京の北上野、戯曲にもしました「下谷万年町」で生まれ育ちました。本格的に演劇に取り組むようになったのは、明治大学文学部演劇科に入ってからです。

 卒業後、1963年、劇団「状況劇場」を結成しました。状況劇場といえば、その存在の核をなすのは紅テントです。なぜテントか。それは寺山修司さんとの会話の中で、サーカスが話題となった時、テントがひらめいたのです。そこからテントを背負って歩くイメージがわき、韓国、バングラデシュ、ブラジル、そしてパレスチナまで紅テントは風に翻りました。

 テントの芝居の最高の魅力は、役者たちと観客が同じ平面で交流できることだと思っています。

 今後は、電脳空間ではなかった、かつての都会を巡るような芝居を構想していますが、まずは一日でも早く、役者としてテントの舞台に再び立てるように回復に毎日を努めています。(息子の大鶴義丹さん代読)
     ◇
 から・じゅうろう 約半世紀にわたる幻想的な戯曲の創作と仮設テント公演における独創的な舞台制作



◆省エネ半導体、総力で結晶 電子工学者・松波弘之さん

松波弘之さん

松波弘之さん

 私にとって受賞は瓢箪(ひょうたん)から駒。たいへん驚いています。

 シリコンカーバイドは高品質の単結晶がつくれないという理由で、1970年代には研究者のほとんどが撤退しました。このため、素晴らしい性質をもっていながら、研磨材や耐火れんがの材料としてしか認識されていませんでした。

 この材料に半導体としての「市民権」を与えてやりたい――。若気の至りで、とてつもない夢を持ってしまいました。学生と一緒に、岩のような材料をたがねと金づちで割り、(結晶を成長させる土台となる)面を削りました。削る過程で、幸運にも、角度が本来あるべきものから少しずれ、その上に作ると高品質の結晶ができました。研究室のスタッフの積み上げてくれたたまものです。

 2001年にはドイツ系企業が市販を始めてくれました。国内でも遅れてはならじと大量生産が始まり、エアコンや地下鉄車両でも使われて、電力損失を少なくするという成果を出していただきました。

 いま商品化されているものを活用して大いに省エネに寄与するとともに、送配電網での電力損失をうんと低減したい。これにはまだ少し時間がかかります。私としては、とくに若い人が大いに腕をふるえるような研究開発の場を作っていくことに関与したいと思います。
     ◇
  まつなみ・ひろゆき パワー半導体シリコンカーバイドの先駆的研究

◆人工光合成の夢へ、地道に
 構造生物化学者・神谷信夫さん、植物生理学者・沈建仁さん

神谷さん(左)と沈さん(右)

神谷さん(左)と沈さん(右)

神谷さん

 私は巳年(みどし)です。ヘビというと地味とか、気味が悪い、怖いと感じる方も多いと思います。でもよい方で考えると、「気が長い」と例えることもできます。

 私たちの研究は、もう20年以上前に始めたものです。長いことやっていても、研究は思うようにいかないことの方が多い。でも今回のように急にステップが上がるときもある。

 振り返ると、恩師や上司、研究をサポートしてくれた方々、若い研究者や友人、家族などの顔が浮かびます。長い間、多くの方々にご支援を頂いたことに感謝いたします。

 光合成は植物が光と水、二酸化炭素からでんぷんを作り、酸素を放出する反応です。生物はその有機物を食べて酸素と一緒に燃やし、活動のエネルギーにしています。私たちの研究はもしかすると、水から酸素を作り出す人工光合成を可能にする糸口になるかもしれません。今後も水から酸素を生み出すメカニズムの解明に向けて、仕事をして参ります。

沈さん

 1990年に理化学研究所で、光合成にかかわるたんぱく質の結晶を作る仕事を始めました。本当に結晶ができるのか、私自身も周りの多くの人も半信半疑でした。

 上司は学会などで出張に行くたびに神社に行ってさい銭をあげていました。「結晶ができるように」と。20年かかったが、ついに私たちは世界一の結晶を作りました。神谷さんに解析してもらい、触媒の中心構造が見えました。途中で、欧州のグループに抜かれたこともありましたが、最終的に一番よい結晶を作ってくれたのが、岡山大の私の研究室の大学院生でした。

 結晶を作り、構造が分かったことで、触媒の詳細な反応の仕組みが分かるようになれば、水と太陽の光から水素燃料や有機物をつくることが可能かもしれない。だんだん夢はふくらんできています。この反応の途中の段階の仕組みを解析し、全貌(ぜんぼう)を解明していきたいと思っています。
     ◇
 かみや・のぶお / しん・けんじん 光合成における水分解・酸素発生の分子機構の解明



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2012年度 朝日賞

 ◇唐 十郎さん(劇作家)
   幻想的な戯曲の創作とテント公演での独創的な舞台制作
 ◇松波 弘之さん(京都大名誉教授)
   パワー半導体シリコンカーバイドの先駆的研究
 ◇神谷 信夫さん(大阪市立大教授)
 ◇沈 建仁さん(岡山大教授)
   光合成における水分解・酸素発生の分子機構の解明



▼選考委員(2012年度、敬称略)

 木村伊量=委員長(朝日新聞文化財団理事長 朝日新聞社社長)
 亀山郁夫(名古屋外国語大学学長)
 岸本忠三(大阪大学大学院教授)
 北澤宏一(科学技術振興機構顧問)
 津島佑子(作家)
 三宅一生(デザイナー)
 養老孟司(東京大学名誉教授)
 米沢富美子(慶応義塾大学名誉教授)
 大野博人(朝日新聞社論説主幹)

主催 朝日新聞文化財団

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