朝日賞 - The Asahi Prize -  

4氏招いて贈呈式 東京・帝国ホテルで 2014年度朝日賞

受賞者

朝日賞を受賞した(左から)坂茂さん、山田太一さん、大村智さん、満屋裕明さん=東京・帝国ホテル、山本和生撮影

 2014年度朝日賞の贈呈式と祝賀パーティーが1月28日、東京都千代田区の帝国ホテルで開かれた。受賞した建築家の坂茂さん、脚本家の山田太一さん、北里大学特別栄誉教授の大村智さん、熊本大学大学院教授の満屋裕明さんに、渡辺雅隆・朝日新聞文化財団理事長から正賞のブロンズ像と副賞500万円が手渡された。

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受賞者4氏のスピーチ

◆被災地での貢献、今後も 建築家・坂茂さん

建築家・坂茂さん

坂茂さん

 建築家になってみて、実はこの仕事に随分がっかりしました。建築家というのはもっと一般社会のために役立っていると思っていましたが、特権階級の方々のために仕事をすることが多い。立派な建築をつくり、目に見えない権力や財力を世間に知らしめるわけです。医者や弁護士と違い、お客さんがハッピーなときにお付き合いし、好きなものをつくらせてもらう恵まれた仕事でもあります。

 建築家も、もっと自分の知識や経験を使って、社会のために何かしなければいけないんじゃないか。そう思っていたときに、1994年にルワンダ内戦、95年には阪神大震災で、貧しいシェルターで苦労している方や住む家がない方、避難所でプライバシーのない生活を送っている方がいることを知り、現地に飛び込みました。避難所や仮設住宅づくりに、我々建築家が加われば、もっと住み心地がよいものになるのじゃないか。そういう思いで、20年間活動してきました。

 朝日賞は、尊敬する小澤征爾さんや三宅一生さん、磯崎新さんらが受賞された憧れの賞です。もらった以上、そういう方々の業績に負けない貢献をこれからもしていきたいと思います。
     ◇
 ばん・しげる 斬新な発想に基づく設計活動と建築による被災地支援



◆大勢の力、ドラマ支えた 脚本家・山田太一さん

脚本家・山田太一さん

山田太一さん

 賞をいただくことになって、実は我が家で一つだけ言い争いがありました。

 「贈呈式に招待する方を、40人を上限にリストにしてほしい」と担当の方に言われ、私は驚いて即座に「一人もいません」と答えました。「皆さん忙しいのに、わざわざホテルまで来て祝ってやろうと思う人はいません。ライターの世界はそういうものです」と。

 すると、女房が怒り出しました。「だいたいあなたが一人だけでドラマを作ったことなんて、一度もないでしょ。必ずプロデューサーやディレクターや俳優さんがいて、出来上がったんでしょ。その方たちに知らん顔で、自分だけトロフィーをもらってしまうの? お世話になった人たちに報告すべきでしょ」と。

 その夜、自分がお世話になった方々をリストアップしていきますと、たちまち100人を超えました。ただ、気がつくと、その半分くらいは亡くなっています。夜が白々と明けるまでかけて、30人ほどに絞り込み、招待状を出しました。

 きょう、この贈呈式後のパーティーで私と談笑している方がいたら、どの方も日本のテレビドラマ界のエリートだと思ってくださって間違いありません。
     ◇
 やまだ・たいち 長年にわたって日本のテレビドラマ作りを牽引



◆新薬開発、愚直さと運と 北里大学特別栄誉教授・大村智さん

北里大学特別栄誉教授・大村智さん

大村智さん

 私が発見したエバーメクチンは、当初予想できなかった記録ずくめの実績を持つことになりました。

 まず動物薬として最も多く使われました。そして、ヒトの河川盲目症とリンパ系フィラリア症にも効くことが分かりました。年2億数千万人が薬を飲み、二つの熱帯病はまもなく撲滅されようとしています。このような役割を果たした抗生物質はありません。これは新種の放線菌によってのみつくられています。その上ありがたいことに、米メルク社に共同研究を提案し、研究を推進した私に朝日賞をいただけました。

 これまで480成分の物質を発見しましたが、愚直に根気よく研究していたところに幸運が訪れました。毎年何千という微生物を採取して新しい物質を探し、構造を明らかにします。

 有用なものを開発するには、微生物学、化学、医学、薬学、獣医学など広大な分野の専門家との共同研究で初めて目的を達成できます。私たちが発見した物質から開発された医薬品などは26種にのぼります。優れた研究者に巡り合えたことに感謝しています。これからも、世の中に役立つ化合物の発見に努めて参りたいと思います。
     ◇
 おおむら・さとし 抗寄生虫薬の発見・開発と国際保健への貢献



◆医療で世界をより良く 熊本大学大学院教授・満屋裕明さん

熊本大学大学院教授・満屋裕明さん

満屋裕明さん

 新しい医療技術を生み出す研究は、難しいことを学びながら謎を解き続ける刺激的でエキサイティングな職業だと私は言い切りたい。国民、特に若い人たちに、サイエンスに喜びを感じることは、ファッションやハリウッドと同様「カッコいい」ことと思ってもらいたい。サイエンティストは国民をがっかりさせてはいけません。大きすぎる期待を抱かせてもいけません。

 私は臨床医あがりで、エイズ薬AZTをつくることはできません。AZTは1964年、ホロウィッツ博士が優れた抗がん剤になれば、と合成した化合物です。しかし、がんに効果はなく、85年、私が34歳のときにエイズの病原体に対する強力な効果を確認するまで、ひっそりと待たなければなりませんでした。

 私が、そして皆様が進んでいる道が、この「人生の成功」につながると願いたい。これから一層の奮闘を続けなければと感じます。
     ◇
 みつや・ひろあき 抗エイズ薬の発見と治療法確立への貢献

 

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2014年度 朝日賞、4氏に

 2014年度の朝日賞は次の4件、4氏に決まりました。28日に東京・日比谷の帝国ホテルで贈呈式を行い、正賞のブロンズ像と副賞(1件500万円)を贈ります。(敬称略、順不同)

 朝日賞は、学術、芸術などの分野で傑出した業績をあげ、日本の文化や社会の発展、向上に貢献した個人・団体に贈ります。1929年に朝日新聞創刊50年を記念して創設、92年に朝日新聞文化財団が授賞事業を引き継ぎました。各界の推薦をもとに、財団と朝日新聞社の選考委員会が審議、決定します。第1回以来の受賞者は合わせて454人と27団体になります。

 ◇坂 茂さん
   斬新な発想に基づく設計活動と建築による被災地支援
 ◇山田 太一さん
   長年にわたって日本のテレビドラマ作りを牽引
 ◇大村 智さん
   抗寄生虫薬の発見・開発と国際保健への貢献
 ◇満屋 裕明さん
   抗エイズ薬の発見と治療法確立への貢献

主催 朝日新聞文化財団

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