朝日賞 - The Asahi Prize -  

贈呈式で喜びを語る 2016年度朝日賞

受賞者

朝日賞を受賞した(前列左から)辻惟雄さん、萩尾望都さん、中島啓さん、113番元素研究グループの森本幸司さん、(後列同)朝日賞特別賞の日本原水爆被害者団体協議会の岩佐幹三さん、田中熙巳さん、朝日賞の113番元素研究グループの羽場宏光さん、加治大哉さん=1月30日、帝国ホテル

 学術や芸術などで傑出した業績をあげた個人や団体に贈る2016年度朝日賞、社会貢献などをたたえる朝日賞特別賞の贈呈式と祝賀パーティーが30日、東京都千代田区の帝国ホテルで開かれた。

 朝日賞を受けた3人と1団体に正賞のブロンズ像と500万円、特別賞の1団体にブロンズ像と200万円が贈られた。

 美術史家の辻惟雄さんは「ゲテモノ好きの私(の受賞)を同じ賞をもらった師も喜んでくれているはず」、数学者の中島啓さんは、トランプ米大統領の排外政策に触れ、「(研究にも)人と人との交流が大切」と述べた。漫画家の萩尾望都さん、113番元素研究グループ、特別賞の日本原水爆被害者団体協議会の代表者らも受賞の喜びを語った。

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受賞者のスピーチ

◆ 「奇想と正統 出会い学んだ」 美術史家・辻惟雄さん

美術史家・辻惟雄さん

辻惟雄さん

 美術史を始めて60余年。概説書に出てこない未知の絵画に、ひきつけられてきました。

 勤務先でゲテモノ好きという評判の立った私の所には、曾我蕭白(そがしょうはく)などの奇妙な作品が次々持ち込まれました。当時米国のコレクターが、無名だった伊藤若冲(じゃくちゅう)の絵を買い求めており、刺激されて私も若冲研究を始めました。これらの経験から『奇想の系譜』を1970年に出版しました。一方、戦死された先輩の研究を継ぎ、狩野元信の研究もしました。奇想と正統。この二つと同時に出会ったことで多くを学んだと思います。

 恩師山根有三先生も朝日賞受賞者です。私のこともあの世で喜んでくれているでしょう。
     ◇
 つじ・のぶお 「奇想の画家」の再評価など日本美術史への多大な貢献

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◆ 「漫画は美しく、新しく、豊か」 漫画家・萩尾望都さん

漫画家・萩尾望都さん

萩尾望都さん

 名誉ある賞をいただき、たいへん驚き、感動しています。

 小学生の頃、漫画は子どもに悪い影響を与える、と大人から嫌われていました。でも私は、漫画は美しいもの、新しいもの、豊かなものだという自分の感覚を信じることにしました。漫画には、小説のようなドラマがあり、映画のような美しい映像があり、言葉には歌があり、画面から音楽を感じました。

 「漫画の革命」はその時から始まっていました。手塚治虫先生をはじめとする多くの漫画家が表現の革新という波を起こしました。私はその波を浴び、好きな世界で仕事をすることができました。編集者、出版社や書店の方々、読者の皆様、すべてに感謝いたします。
     ◇
 はぎお・もと 漫画表現の革新と長年にわたる創作活動

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◆ 「他分野にも広がった理論」 数学者・中島啓さん

数学者・中島啓さん

中島啓さん

 数学では厳密に証明されたものだけが正しく、理論物理では斬新で美しい発想が重要です。これまで、その二つの交流が多くの成果を出してきました。

 私が数学の研究として箙(えびら)多様体という空間の研究を始めた当時、周囲からは興味を持たれていませんでした。それでも物理学との関連が始まり、今では物理研究で重要な役割を果たしています。有名な理論の厳密な基礎づけもできました。箙多様体の理論は30年前には想像できないほど大きく広がりました。

 たくさんの研究者との交流で、思いもしない分野とのつながりもできました。すぐに成果が出ると見えなくても、興味を広く持ち、他の研究を知ることが役に立ったのだと思います。
     ◇
 なかじま・ひらく 幾何学的表現論と数理物理学への展開

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◆ 「世界一の装置が発見生む」 113番元素研究グループ

森本幸司さん

森本幸司さん

 113番元素ニホニウムの発見は、非常に長い時間をかけてなし得た研究です。1970年代から実験装置の製作が始まり、2003年に準備が整いました。12年までに113番元素三つを検出したことで命名権を得ました。成功したのは、世界一の性能を備えた装置を組み合わせることができたからです。

 ニホニウムは寿命が短く、すぐに社会に役立つわけではありません。しかし、この発見を足がかりに、寿命の長い次の新元素を発見し、科学的性質を解明できれば、その元素が社会に直接役立つかもしれません。
     ◇
 研究グループ代表の森田浩介さんは音声メッセージで喜びを語った。
 「基礎研究の成果を評価頂きました。チーム全員で取り組んだ研究で、チームでの受賞を特にうれしく思います」
     ◇
 113番元素ニホニウム(Nh)の発見と命名

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【朝日賞特別賞】


◆ 「核廃絶へ力を合わせて」 日本原水爆被害者団体協議会

岩佐幹三・代表委員(右)とスピーチをした田中熙巳・事務局長

岩佐幹三・代表委員(右)とスピーチをした田中熙巳・事務局長

 被爆から日本被団協結成まで11年、被爆者は日米政府から見捨てられ、沈黙を強いられ、原爆の後遺症に苦しみましたが、「自らを救い、人類の危機を救おう」と誓いあいました。

 結成後は「再び同じ苦しみを世界の誰にも味わわせてはならない」との思いから、核兵器の廃絶と原爆被害への国家補償に向けて運動を続け、様々な国際会議でも訴えてきました。

 地球上には今も1万5千発余りの核弾頭が存在します。被爆者と日本の市民が果たす役割はますます重要です。核兵器の禁止・廃絶条約が結ばれるよう、力を合わせて下さることをお願いします。
     ◇
 被爆者救済と核兵器廃絶の運動を通じた国際的貢献

 

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2016年度 朝日賞、朝日賞特別賞 受賞者

 2016年度の朝日賞は次の4件(3氏、1団体)に決まりました。また、朝日新聞社から朝日賞特別賞を1団体に贈ります。30日に東京・日比谷の帝国ホテルで贈呈式を開き、正賞のブロンズ像と副賞を贈ります。(敬称略・順不同)

 ◇辻 惟雄さん
   「奇想の画家」の再評価など日本美術史への多大な貢献
 ◇萩尾 望都さん
   漫画表現の革新と長年にわたる創作活動
 ◇中島 啓さん
   幾何学的表現論と数理物理学への展開
 ◇研究グループ  代表・森田 浩介さん
   113番元素ニホニウム(Nh)の発見と命名

【特別賞1団体】
 ◇日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)
   被爆者救済と核兵器廃絶の運動を通じた国際的貢献

主催 朝日新聞文化財団

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