朝日賞 - The Asahi Prize -  

受賞者スピーチ 2018年度朝日賞

受賞者

朝日賞を受賞した(左から)木庭顕さん、是枝裕和さん、岡本龍明さん、平野達也さん
=2019年1月30日、帝国ホテル

 2018年度朝日賞の贈呈式が1月30日、東京都千代田区の帝国ホテルで開かれました。
受賞した木庭顕さん、是枝裕和さん、岡本龍明さん、平野達也さんのスピーチを紹介します。

▲このページのトップへ戻る



受賞者のスピーチ

◆知的伝統の重要性、若い世代に ローマ法研究者・木庭顕さん

ローマ法研究者・木庭顕さん

木庭顕さん

 私はギリシャ、ローマから現代に至る知的伝統の重要性について、若い世代に伝えようとしてきました。時代に流されないことは簡単ではないが、重要です。その時こそ、古典の力が安定的です。また、そうした太い知的伝統は、人間の可能性への深い信頼を培います。教育に置き換えると、若い人たちの可能性に全幅の信頼を置くということ。(対話を通して)若い世代の良さを引き出すことが、現代の日本でも可能だという強い確信を持ちました。我々の対話に共感する読者も多数います。まだ、絶望する必要はありません。

 伝え手にとって重要なのは、受け手を低く見ないこと。伝わらないとしたら、レベルの落とし方が足らないのではなく、レベルそのものが低すぎるのです。
     ◇
 こば・あきら 著書に『憲法9条へのカタバシス』『誰のために法は生まれた』など

▲このページのトップへ戻る


 

◆映画の歴史、光も闇も背負って 映画監督・是枝裕和さん

映画監督・是枝裕和さん

是枝裕和さん

 テレビの仕事からスタートし、今年が33年目。その当時を知る先輩たち、映画を作る上で支えてくれるスタッフ、仲間たちも来てくれています。すごく幸せな30年だと改めて思います。

 これまでの受賞者に、映画監督では黒澤明、新藤兼人、山田洋次、宮崎駿の名前があります。そこに自分が連なるのは責任が重い。

 海外の映画祭でも、名誉賞のようなものを頂くことが増え、周囲からそろそろゴールが近いと言われている感じがちょっと嫌なんです。映画監督としてはこれからのキャリアの方が大事だと考えています。映画が時代の中でどんな役割を果たし、どう翻弄され、翻弄する側に回ったのか。歴史の光の部分も闇の部分も背負い、今後も映画を作っていければと思います。
     ◇
 これえだ・ひろかず カンヌ国際映画祭で「万引き家族」が最高賞のパルムドールに

▲このページのトップへ戻る


 

◆暗号は人類の知見のくみあげ NTTフェロー・岡本龍明さん

NTTフェロー・岡本龍明さん

岡本龍明さん

 暗号は安心してインターネットを利用するための基盤技術です。私が取り組んだ「楕円曲線暗号」はインターネットのほか、ビットコインやブロックチェーンなどでも使われています。皆さんも意識せずにこの暗号を利用したことがあるのではないかと思います。

 また、どんな暗号方式も必ず最も強い安全性をもった暗号に変換できる一般的な方法を考案したほか、応用研究も進めてきました。

 暗号とは数学や計算理論、情報科学など人類が長年かけて獲得した自然科学の知見をくみあげて、社会に役立てようとするものです。30年以上前に暗号に出会ったとき、暗号の持つこのような性質に大変魅了されました。これからも暗号研究を通じて社会に貢献できればと考えています。
     ◇
 おかもと・たつあき 暗号の安全性理論を確立し、インターネット社会に貢献

▲このページのトップへ戻る


 

◆基礎研究の評価、何よりも喜び 理化学研究所主任研究員・平野達也さん

理化学研究所主任研究員・平野達也さん

平野達也さん

 染色体は、遺伝情報を次世代に継承する生命の本質です。私は、長いDNAが細胞の中でどのように折りたたまれて染色体が作られるのかという基本的な問題に取り組み、主役を担うたんぱく質「コンデンシン」を発見しました。このような基礎中の基礎の研究を評価していただいたことを、何よりもうれしく思います。

 日本の基礎科学は今、危機に陥っています。科学の有用性のみが強調され、評価の対象になっています。しかし、科学は社会的な利益を生むための手段ではありません。科学は文化なのです。文化と人材は丁寧に継承していかなければなりません。今後も研究を続け、次世代に「誰よりも深く考え抜き、深く掘り下げる」という科学者精神を継承していくつもりです。
     ◇
 ひらの・たつや 染色体構築で主役を担うたんぱく質「コンデンシン」を発見

▲このページのトップへ戻る


 

 

2018年度 朝日賞受賞者一覧

  ◇木庭  顕さん   政治・デモクラシー・法の歴史的基盤の探究
  ◇是枝 裕和さん   カンヌ映画祭最高賞受賞など、映画表現における達成
  ◇岡本 龍明さん   先駆的な暗号の設計と安全性理論の開拓
  ◇平野 達也さん   コンデンシンの発見と染色体構築に関する研究

主催 朝日新聞文化財団

English Page

「朝日賞」TOPページへ



★ お問い合わせ ★

朝日新聞社CSR推進部「朝日賞」事務局
〒104-8011
東京都中央区築地5-3-2
[TEL] 03-5540-7453
[FAX] 03-3541-8999

公益財団法人 朝日新聞文化財団
〒100-0005
東京都千代田区丸の内2-1-1
明治生命館6階
[TEL] 03-6269-9441
[FAX] 03-6269-9442

過去の受賞者リスト
▼テキストをクリックすると詳細ページへ飛びます。

2018年度 ★受賞者 ★贈呈式

2017年度 ★受賞者 ★贈呈式

2016年度 ★受賞者 ★贈呈式

2015年度 ★受賞者 ★贈呈式

2014年度 ★受賞者 ★贈呈式

2013年度 ★受賞者 ★贈呈式

2012年度 ★受賞者 ★贈呈式

2011年度 ★受賞者 ★贈呈式

2010年度 ★受賞者 ★贈呈式

2009年度 ★受賞者 ★贈呈式

2008年度 ★受賞者 ★贈呈式

2007年度 ★受賞者 ★贈呈式

2006年度 ★受賞者

2005年度 ★受賞者

2004年度 ★受賞者

2003年度 ★受賞者

2002年度 ★受賞者

2001年度 ★受賞者

2000年度 ★受賞者

1999年度~1990年度 ★受賞者

1989年度~1980年度 ★受賞者

1979年度~1970年度 ★受賞者

1969年度~1960年度 ★受賞者

1959年度~1950年度 ★受賞者

1949年度~1940年度 ★受賞者

1939年度~1929年度 ★受賞者

朝日賞特別賞 ★受賞者