明日への環境賞
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| 生ごみは、資源収集ステーションに持ち込まれる=山形県長井市で |
山形県長井市は、家庭から出る生ごみを堆肥(たいひ)化して農業に使い、安全な有機農産物を地域に供給しようという「レインボープラン」を進めている。
生ごみ分別や循環型農業の先駆けとして、関係者の間で知名度は高いが、発想の出発点は地域内循環による農の確立と街づくりにある。
「農家は大消費地の都会とつながっている。市民も都市を経た品物を買っている。同じ町で生活しながら、市民と農民はつながっていない。ともに長井の街を作っていくという思想が必要だった」と、同プラン企画開発委員長の農業菅野芳秀さん(54)は言う。
生ごみを分別する市民、それを生かした農作物を食卓に提供する農民、行政はこの循環をサポートする。3者が協力して作り上げるから、街づくりの一環なのだ。
市民を挙げて取り組んでいることを示すエピソードがある。
生ごみ用のバケツに、たばこを捨てようとした父親を、息子が見とがめて言う。「お父さん、野菜がたばこ臭くなるよ」
農業と食卓が結びついていることを、人々が実感しているのだ。
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| オープニングで、売り場に並んだ消費者の行列=05年6月、NPO法人レインボープラン市民市場「虹の駅」で |
<生ごみの堆肥化>
環境省によると、生ごみを含む堆肥化のための施設は、01年度現在、全国に45カ所ある(市町村、事務組合設置分)。93年度に比べて13カ所増で、処理能力は日量約680トン。資源化だけでなく、ごみ減量やダイオキシン抑制などの点でも注目されている。山形県長井市では、生ゴミ分別を始めて以降、生活系可燃ごみが33%減ったという。
○主な活動
88年 1月 レインボープランの母体となる「まちづくりデザイン会議」設置
91年 7月 「台所と農業をつなぐ・ながい計画」調査委員会(愛称・レインボープラン)が発足
92年11月 山形県長井市の事業に
93〜95年 生ごみ分別モデル事業実施
94〜98年 市民の理解を得るためシンポジウム計6回開催
96年12月 生ごみ堆肥工場のコンポストセンター完成
97年 2月 生ごみ分別収集本格実施
98年 7月 カボチャ1.5トン初出荷
99年 4月 独自基準による作物の認証制度始まる
(2004/04/19)
- レインボープラン推進協議会
- 活動開始時期 1997年2月(前身の組織は1988年)
- 会員数 約50人(全市民が対象だが、役員・部会役員数が約50人)
- 現在の活動の概要および将来の予定
- レインボープランは、ゴミの減量事業ではなく、まちづくりの事業だ。生ゴミを資源として活用しながら、農を基礎とする循環の地域づくり、安心できる食のまちづくりを実現していこうとする市民主体の事業だ。
1989年に各界各層の参加を得て検討を始めてから16年。稼動してから約8年。事業はようやく第二段階に入っている。第一段階は循環の仕組みづくり、第二段階は第一段階で形成された「循環」や市民と行政の「ともに」などの理念を、まちづくり全体に活かそうとしている。
生ゴミの循環事業は順調に回っている。生ゴミへの異物の混入割合は年々少なくなり、市民の生ゴミ分別への参加率もほぼ100%に及ぶ。農家は生ゴミ堆肥を使い、多くの作物を市内に還元している。その時々の課題はあるものの、レインボープランは市民の中にすっかり定着した。
長井市の環境基本計画には、レインボープランをまちづくりに活かそうとする姿勢が強く打ち出されている。 レインボープラン推進協議会の将来の活動は、第一段階の成果をしっかりと踏み固めながら、環境や食の課題を中心に教育や福祉の領域などにも、少しずつ活動の幅を拡大していくことだと考えている。だが、当面はレインボープラン市民市場「虹の駅」を軌道に乗せることに全力を注いでいきたい。 - 受賞後に新しく始めた取り組み
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レインボープランの事業にとりましての弱さは流通分野にあった。市民の中に「どこに行けばレインボープラン野菜が買えるのか?」の声があり、生産農家には「生産したものをどこに持っていけばいいのか?」という声があった。レインボープランの地域内流通の仕組みが未確立であることで、参加農家の数にも影響をあたえていた。
これらを受け、レインボープラン推進協議会では4年ほど前から「虹の駅」建設特別委員会を設け、レインボープラン農産物の地域内流通の仕組みづくりを検討してきた。そして「明日への環境賞」の資金を活用して、ついに地域内循環をめざす自前の流通拠点をスタートさせた。「NPOレインボープラン市民市場『虹の駅』」の誕生だ。
生産者が作物をつくり、消費者が堆肥をつくる。「虹の駅」はこのようなレインボープランの理念を活かして、生産者、消費者の枠を越え、市民協働の「食と循環」の拠点として運営されている。 - 問い合わせ先
〒993−8601 山形県長井市ままの上5番1号 - TEL:0238-84-2111 FAX:0238-83-1070
- ホームページアドレス
http://biz.lablog.net/rainbow/ca_2.html - 連絡先メールアドレス
rainbow@city.nagai.yamagata.jp - (2005/07)
- ◆その他の第5回受賞団体
- * 特定非営利活動法人 水俣フォーラム(東京都新宿区)
わが国の公害の原点とも言われる「水俣病」を風化させないために、全国各地で水俣展を開催するなど、水俣病と市民との出会いの場を設け、歴史の橋渡しをしている。 - *クマタカ生態研究グループ(滋賀県野洲町)
豊かな森林環境の指標であるクマタカの知られざる生態を、長年にわたるフィールド調査で解明した。成果は各地の環境保全に生かされ、東南アジアの人々との協力の輪も広がっている。 - *廃棄物対策豊島住民会議(香川県土庄町)
国内最大級の産廃不法投棄と長年闘い、排出者責任を追及するとともに香川県に撤去・処理させ、国の産廃行政に大きな影響を与えた。




