明日への環境賞


第5回
明日への環境賞

受賞の記録

Environment for tomorrow Prize

受賞の記録

クマタカ生態研究グループ
「森の忍者」研究重ねる

 鈴鹿山脈の山里、滋賀県永源寺町蛭谷(ひるたに)は標高400メートル、木地師発祥の地として千年以上の歴史がある。

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見晴らしの利く林道からクマタカを観察するメンバーたち=滋賀県永源寺町で

 研究グループ会長で県職員、獣医師の山崎亨さん(49)が言う。

 「ここの神社の裏山にクマタカが営巣する。原生林だけでない、杉の植林やお茶畑もある環境に共存しています」

 週末、メンバーは電波受信機を頼りに林道を走り回る。空を見つめていた井上剛彦さん(47)が叫んだ。

 「飛んだ」。峰のモミの大木の上をクマタカがしばし飛んで、東へ消えた。

 林内を猛然と飛ぶクマタカは「森の忍者」と呼ばれ、生態もナゾだらけだった。丸1日、クマタカを見られない「坊主」の日が何日も続いた。難しいほど燃える。日の出から日没まで追った。

 重さ10グラム。電波発信器の開発で、調査は一気に進んだ。40羽に付けた。「科学的な基礎データの蓄積こそが保全対策につながる」と山崎さん。

 全国的にクマタカの繁殖成功率が落ちるなど気がかりな問題もある。

 豊かな森林環境のシンボル、クマタカを見直そうと結成した「アジア猛禽(もうきん)類ネットワーク」は、5年目を迎えた。研究グループの運動は、東南アジア19カ国の各地に広がっている。


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ベトナムにおける猛禽類調査の現地指導=04年4月、ベトナムで

<クマタカ>
 レッドリストで絶滅危惧(きぐ)種IB類。北海道から九州の山岳森林地帯に分布し、平均体長はオス72センチ、メス77センチ、体重はオス2・2キロ、メス2・9キロ。ウサギやヤマドリ、ヘビなどを食べ、昔は鷹(たか)狩りにも使われた。ピッピィー、ピッピィーと鳴く。目の色が成長に従って灰青色から黄色、オレンジ色、赤色と変わり、年齢が推定できる。

 ○主な活動
 83年 1月 クマタカ生態研究グループ結成
 86年 4月 鈴鹿山脈全域で分布を調査し、2年かけて30ペアの生息を確認
 87年    ひなの翼に個体識別のマーカー
 89年 1月 幼鳥に電波発信器を装着
 92年    映画「クマタカ 森の精」完成
 95年    クマタカシンポジウム第1回全国大会
 97年    クマタカ全国分布調査開始
 98年12月 琵琶湖博物館で第1回東南アジア猛きん類シンポジウム
 99年    アジア猛禽類ネットワーク設立
 00年 4月 「クマタカ・その保護管理の考え方」出版


(2004/04/19)



クマタカ生態研究グループ
活動開始時期 1983年1月
会員数 16人
現在の活動の概要および将来の予定
  •  生態系の上位種であるクマタカの保護を通じた自然環境保全を東南アジア全域に拡大することを目的に、アジア各国の猛禽類研究者が共同でクマタカ属の分布・生態調査プロジェクトに着手(アジア猛禽類ネットワークとしての取り組み)
受賞後に新しく始めた取り組み
  1. 日本においてはクマタカの生態研究を一層進めるとともに、新たな成果に基づいた具体的な保全対策をとりまとめている
  2. 日本で得られた知見や技術をアジア全域に展開し、アジアの猛禽類とその生息環境の保護を推進している(アジア猛禽類ネットワークとしての取り組み)
問い合わせ先
 〒520−2341 滋賀県野洲市行畑1丁目5−7
 TEL:077-587-1441 FAX:077-587-1441
ホームページアドレス
 http://www5b.biglobe.ne.jp/~raptor/index.htm(アジア猛禽類ネットワーク)
連絡先メールアドレス
 t-yamaza@mx.biwa.ne.jp
(2005/07)
◆その他の第5回受賞団体
* レインボープラン推進協議会(山形県長井市)
住民、農家、行政が協力して循環型社会の実現に取り組む先駆的な試みが、着実な成果を上げている。
* 特定非営利活動法人 水俣フォーラム(東京都新宿区)
わが国の公害の原点とも言われる「水俣病」を風化させないために、全国各地で水俣展を開催するなど、水俣病と市民との出会いの場を設け、歴史の橋渡しをしている。
*廃棄物対策豊島住民会議(香川県土庄町)
国内最大級の産廃不法投棄と長年闘い、排出者責任を追及するとともに香川県に撤去・処理させ、国の産廃行政に大きな影響を与えた。