明日への環境賞


第7回
明日への環境賞

受賞の記録

Environment for tomorrow Prize

受賞の記録

グラウンドワーク三島
「水の都」市民の力で再生

 静岡県三島市。新幹線の駅前広場から南に広がる市街地に、街歩きの中高年の姿が目につく。お目当ては水環境。富士山からの豊かな地下水がもたらす水辺空間を訪ね歩く。

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桜が満開の「宮さんの川」にたたずむ渡辺事務局長(左奥)ら=06年3月、三島市内で

 「グラウンドワーク三島」の渡辺豊博・事務局長は「わたしたちが提案した案内マップの配布枚数は8年前の3万枚が今年は15万枚です」。工場用水の大量取水などで風前のともしびだった「水の都」を市民の力で再生させ、観光客を集めるまでになった。

 グラウンドワークは、英国発祥の環境保全運動。地域の自然や文化を「資源」と位置づけ、市民が身近な環境を向上させる。三島育ちの渡辺事務局長の本職は静岡県庁職員。80年代前半、市中心部を流れる源兵衛川のごみ拾いを手始めに、今日の大きな運動に育て上げた。

 「河川やわき水の水量が減って水質も悪化したのは60年代。源兵衛川は悪臭が漂い、埋め立て話が持ち上がっていました。なんとかそれを止めようと川をきれいにするところから立ち上がりました」(渡辺氏)

 92年に各市民団体を結ぶ「グラウンドワーク三島」が発足。源兵衛川の水辺は飛び石や板敷きのボードウオークが配され緑の水辺が出現した。

 絶滅した三島梅花藻(ばいかも)の再生、学校を舞台とする自然を生かした庭園ビオトープ作りなど活動の幅は広がり、現在の作業場は市内の34カ所にのぼる。みんなで汗を流す工事に加え、ホタルの養殖や自然観察会の開催にも力を入れ、運動は開かれた形で定着する。

 活動の目玉は「市民公協事業」。市役所など行政だけでは進まない作業を委託を受けるなどして工事実務を担う。低予算で水辺の整備が進み、委託費が持続的な活動を支える仕組みだ。

 <都市再生の活動>
 参加グループは20団体、活動に従事するひとは4千人を数える。04年に土木学会デザイン賞、05年に都市景観大賞を受賞、地方都市再生の創造的な試みとしても注目される。箱根で栽培するソバの販売も軌道に乗りつつあり、目標とする「環境コミュニティービジネス」も現実味を帯びてきた。スローガンは「右手にスコップ、左手に缶ビール」。実践と対話の姿勢を映し出す。


(2006/04/14)


特定非営利活動法人 グラウンドワーク三島
活動開始時期 1992年9月
会員数 120人(参加団体20団体)
問い合わせ先
 〒411−0855 静岡県三島市本町7−30
 TEL:055−983−0136
 FAX:055−983−0136
ホームページアドレス
 http://www.gwmishima.jp/
(2006/04)
◆その他の第7回受賞団体
*財団法人 知床財団(北海道斜里町)
海陸にまたがる厳しく豊かな生態系を科学的に調査し、保護管理の現場の最前線で活動を続ける。「知床」の世界自然遺産登録にも多大な貢献をした。
*矢作川漁業協同組合(愛知県豊田市)
きれいな水とアユの復活を通じて、人と川とのあるべき関係を取り戻す努力を続け、ダムで分断された川の環境改善に関するモデルケースとなっている。
*財団法人 宍道湖・中海汽水湖研究所(島根県松江市)
貴重な二つの汽水湖を守るための科学的研究を重ね、市民とともに大型開発を中止させ、さらに環境の再生に取り組んでいる。
*特定非営利活動法人 農と自然の研究所(福岡県二丈町)
虫や草花などの観察を通して、田んぼが自然環境に果たす役割を示し、稲作に携わる農民を環境保全の担い手として育てるため、尽力している。