明日への環境賞
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| 天然アユの産卵場を再生するために予備調査をする漁協の組合員ら=04年10月、矢作川下流部で、矢作川漁業協同組合提供 |
矢作川は最近、「天然アユの川」として知られるようになった。地道な努力がやっと実を結びつつある。
矢作川は長野県を水源に岐阜県、愛知県を通って三河湾に注ぐ1級河川。明治以来、中流域に七つの取水、発電用ダムが造られた。アユは養殖アユの放流に頼ってきた。
90年代、八つ目として河口堰(かこうぜき)の計画が持ち上がった。「我々は目が覚めた。これを許したら最後、川は完全に死ぬ」。新見幾男組合長は振り返る。開発を認めて補償をもらう繰り返しをここでやめた。
豊田市と矢作川研究所をつくりアユを調べ始めた。03年に「環境漁協宣言」を発表。「この百年は矢作川の河川環境破壊の歴史であり内水面漁業権側の抵抗と敗北、後退の屈辱の歴史だった」として、「流域に住む人と川の関係を再構築し、河川環境の再生を展望したい」と呼びかけた。
川の再生の指標は天然アユの回復だ。魚道の改良をもとめ、関係する団体と協議して流量を増やした。河川敷の竹を切って整備し、子どもに川遊びを教える「川の学校」を始めた。
アユの生態調査からコツもつかんだ。遡上期や、秋に親アユが産卵のために下る時期に、ダムの放流量を増やせばアユは楽に移動する。ダムは環境を壊すが、流量調節機能をアユ復活に逆利用する方法だ。
養殖アユに病気が広がっている、ダムがある、子どもが川で遊ばない……。
日本の川が抱える課題に矢作川漁協と支援者たちはあきらめずに取り組む。新見さんは「アユが増えた川は本当に水がきれいで地域の誇りになるんです」。挑戦は始まったばかりだ。
<天然アユと放流アユ>
アユの漁獲量は、全国で約7千トン。このうち、天然に遡上してくるアユは、放流魚の2倍程度。ピークだった91年の1万8千トンから年々減少しており、減少分の大半は天然アユと考えられている。
放流アユは、各河川で採取した卵から育てる人工種苗が6割ほどで最も多い。琵琶湖で稚魚のときに捕獲、育てた後に放流する琵琶湖産は3割程度となっている。
(2006/04/14)
- 矢作川漁業協同組合
- 活動開始時期 1994年7月
- 会員数 組合員1127人
- 問い合わせ先
〒470−0331 愛知県豊田市平戸橋町波岩87 -
TEL:0565−45−1064
FAX:0565−45−0967 - ホームページアドレス
http://www.yahagi-ayu.net - (2006/04)
- ◆その他の第7回受賞団体
- *財団法人 知床財団(北海道斜里町)
海陸にまたがる厳しく豊かな生態系を科学的に調査し、保護管理の現場の最前線で活動を続ける。「知床」の世界自然遺産登録にも多大な貢献をした。 - *特定非営利活動法人 グラウンドワーク三島(静岡県三島市)
富士山の豊かな水系に位置する三島を、幅広い市民の力を束ねることによって、 長期間にわたる環境悪化から蘇らせ、新たな水環境の創造に成功している。 - *財団法人 宍道湖・中海汽水湖研究所(島根県松江市)
貴重な二つの汽水湖を守るための科学的研究を重ね、市民とともに大型開発を中止させ、さらに環境の再生に取り組んでいる。 - *特定非営利活動法人 農と自然の研究所(福岡県二丈町)
虫や草花などの観察を通して、田んぼが自然環境に果たす役割を示し、稲作に携わる農民を環境保全の担い手として育てるため、尽力している。




