明日への環境賞


第9回
明日への環境賞
Environment for tomorrow Prize

受賞の記録

矢作川森の健康診断実行委員会(愛知県)

楽しみながら調査 「治療」も  

市民と研究者がスクラムを組み、自然に親しみながら森を調べる「森の健康診断」の輪が広がっている。樹木の込み具合や植生などから荒れ具合を診断し、森づくりに役立てようとする試みだ。

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「森の健康診断」で、植物の葉を集めて種類を調べる参加者たち
=06年6月、愛知県豊田市足助町、丹羽さん提供

 全国で初めて取り組んだのが、「矢作川森の健康診断実行委員会」だ。きっかけは00年9月の東海豪雨。土砂崩れは数百カ所におよび、矢作ダムはスギなどの流木で埋まった。「人工林が間伐などの手入れをされず、木がモヤシのようになっているためなのではないか」。丹羽健司代表が、愛知県豊田市を中心とする森林ボランティアや研究者らに呼びかけ、始まった。
 診断は、7、8人を1グループとする調査チームが実施する。木の高さを測る手作り器具など「七つ道具」を使って樹木の込み具合、下草の種類など50項目を調べる。各グループには動植物に詳しい人や地元の人が加わり、「楽しみながら調査する」のがモットーだ。
 05年6月に市民ら約200人が参加して1回目の診断を開催して以来、毎年続けている。流域の7割にあたる約9万任猟敢困鮟えた。07年には豊田市で全国会議が開かれ、北海道から九州まで各地から行政、ボランティア関係者など計230人が参加した。診断のマニュアル本も出版し、東海地方をはじめ、北陸、関西、九州地区へと活動は広がりを見せている。
 調査で全体の6〜8割が不健康な森と診断され、人工林の荒廃ぶりが科学的に裏付けられた。この活動は豊田市の森づくり政策や条例制定を促したほか、森の再生に向けた「治療」の動きも始まっている。丹羽さんは「科学と五感で森と向き合うこの試みが全国に広がり、結果として日本の森の再生につながれば」と期待する。

<森林管理>
 日本の国土の7割は森林が占め、その4割がスギ、ヒノキなど植林された人工林。人工林は間伐、下草刈りなどの手入れが欠かせない。しかし、安価な輸入材の影響で国内の林業は衰退。後継者不足などから管理が行き届かず、全体の7割は手つかずの状態という。この結果、生育が悪く、根の張りも弱いことから、大雨による土砂崩れなどの災害が発生しやすいと指摘されている。

(2008/04/11)


◆その他の第9回受賞団体
*緑と水の連絡会議(島根県) 草原の維持・再生と生物多様性の保全活動
市民、農家、研究者が協働して放牧の再開された三瓶山の草原景観を維持する活動を展開し、生物多様性に富む草原の価値を蘇らせるとともに、地域の自然保全にも取り組んでいる
*宮崎野生動物研究会(宮崎県) 長年にわたるウミガメの科学的調査と保護
1970年代から30年以上にわたり日本におけるウミガメの科学的な調査を行い、保護活動と環境教育をリードしてきた。砂浜減退の問題などにも積極的に取り組んでいる