朝日舞台芸術賞

第6回(2006年)受賞者(敬称略)

■舞台芸術賞 


段田安則「役の振れ幅が楽しい」


 「どっぷり舞台につかりました」
 06年は5本の舞台に出演した。そのうちの新作・新演出で上演された3本が賞の対象になった。がらりと色合いの違う作品、役柄に次々取り組み、そのすべてで、確かな人間像を描き出した。
 米国の戯曲「ヴァージニア・ウルフなんかこわくない?」で演じたのは大学教授。深夜の自宅で妻と激しくののしり合い、招いた若い同僚夫婦を当惑させる。
 「言葉で傷つけ合うことに性的な喜びを感じているような、ちょっと変わった人たち。でも、その中に人間の普遍的なものを感じた。この夫婦は初めから、けんかのふりをしているだけなのかもしれない……などと、いろいろな解釈もできる。名作とはそういうものなんでしょうね。公演が始まってからも発見があり、人物像が腑(ふ)に落ちてゆくのが楽しかったです」
 清水邦夫作、蜷川幸雄演出「タンゴ・冬の終わりに」では、主人公の恋人だった女と結婚した男の役。「主人公が星で自分は星くず、というせりふがありますが、そんな単純なものではないはず」と考え、武骨に見える男に鋭さを加えた。青木豪作の現代劇「獏(ばく)のゆりかご」では、身近にいそうな生活感のある男を演じた。
 「役の振れ幅は大きい方が楽しい。殺人犯にも良い心はあるだろうし、善良な人にも冷たさはあるはず。人間をそう表現するところに魅力がある。だから、いろんな役に取り組みたいと思っているんです」

〈だんた・やすのり〉 57年生まれ。81年劇団夢の遊眠社に参加し、92年の解散まで主要な役を演じる。主な舞台に「夜への長い旅路」「おもろい女」「幻に心もそぞろ狂おしのわれら将門」など。映画、ドラマでも活躍。



受賞の記録

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主催:朝日新聞 後援:テレビ朝日